CHIAKIほおずき
2013年度テーマ「体調管理をケアに活かした取り組み」

発表テーマ

「在宅医療との関わり」

発表者:A・N
CHIAKIほおずき神戸垂水
グループホーム

目的

対象者 K様
既往歴:
若い時に肋膜炎
平成18年頃転倒により右膝靱帯を痛めた
40代脳梗塞により左足に軽度な麻痺
左股関節大腿部捻挫
認知症あり
入居時の健康診断にて右肺に4cm大の肺腫瘍が見つかり肺がんと診断された。
高齢であり認知症もあることから、無治療で経過を見ていく方針になる。(家族の意向)

本人の自覚症状無し、在宅診療医療機関を利用する事で医療面の安心が得られる。
ホームでの生活を送る事に、家族様からの協力があり安心である。

入居に際しての希望
K様⇒のんびりと過ごしたい
家族様⇒「自分から積極的に行動する事はないと思いますが、誘って頂ければなんでも楽しめると思います。」
「余生を穏やかに過ごすことが出来れば何よりだと思っています。」
「主治医の先生にお任せしながら緩和ケアをして頂ければ十分と考えています。」
「延命は希望していません。どのようなかたちであれ人生尽きるときが寿命だと考えています。」

<K様の初回ケアプラン>
”総合的な援助の方針”
きちんと排泄ができる。楽しく穏やかにホームの生活を送ってもらえるように援助する。
”援助目標”
楽しく穏やかなホーム生活が送れる。
長期目標⇒楽しく活動的に過ごせる。
短期目標⇒日中活動的に過ごせる。
”援助内容”
・バイタル測定を定期的に行ない体調の変化をみる。
・体調に無理のない用にレクリエーション、家事をして頂く。
・様子をみながらベッドで休んで頂く。
・ケース記録へ記録を残す。
・排泄、痔のケア(陰部、肛門を清潔にする。出血の有無を確認する。)

方法

経過①
H24年4月下旬入居
環境が変化しても落ち着いて生活できていた。
H24年5月上旬
急性肺炎のためT病院へ緊急入院輸液、抗生剤投与にて退院(入院12日間)。
H24年5月中旬
協力医のアドバイスを受け家族様と相談、A医院へ在宅診療の依頼をする。
H24年5月下旬
在宅診療の開始。
2週間に1度の医師訪問診療と隔週の訪問看護師により状態安定して穏やかに過ごせていた。
H25年3月下旬 早朝39.2℃発熱⇒40℃上昇。
クーリング対応、頓服を服用するもその後意識消失。
救急搬送でT病院へ搬送、肺炎の所見でそのまま入院。
H25年4月上旬 治療終了しホームへ退院(入院10日間)。
入院中の検査で、右肺の腫瘍7cm大、右中葉背側に影がみられる。
コリネバクテリウム肺炎の診断。
H25年4月上旬 早朝38.5℃発熱 他に症状はない。
訪問看護師に連絡。コカール、クラビットの内服薬を指示により服用。
主治医の往診 肺炎を疑い所見なし。
採血・胸部レントゲン・抗生剤投与、検査結果右肺7.5cm大腫瘍 胸水なし。
在宅療養機関を導入。

<K様の現在のケアプラン>
”総合的な援助の方針”
体調変化をよく観察し体調変化が現れた際、主治医と連携をとり対応する。
自身で出来ることはして頂き安心して暮らして頂けるように援助する。
”援助目標”
体調の変化に気づく
長期目標 安楽に暮らす
短期目標 体調の変化がありながらも安心して暮らす
”援助内容”
・体調変化⇒咳・痰・発熱・呼吸・身体の痛み・足の浮腫・睡眠状態・手指の冷感・排便状態の観察と記録
・発熱予防⇒発熱予防15時カロナールを服用
※異常時主治医へ連絡し相談・指示を仰ぐ
・歩行状態が不安定な際は車椅子を使用
・家事への参加(食器拭き、洗濯たたみ、テーブル拭き、掃除、買い物)
・皮膚乾燥が激しいためヒルロイド軟膏を塗布し保湿
・髭剃り等の整容

経過②
H25年10月下旬 夕方から上昇する体温。
発熱の原因は「腫瘍熱」。
夕方から安定した状態を保つために定刻に解熱剤を服用し、発熱しても高熱にならないよう、
予防の対策をとることになる。
H26年1月中旬 A医院 医師往診。
錠剤が飲み込みにくいと相談、処方される薬を粉砕して頂く。
食欲はあるが体力低下、筋力低下、痩せてきているため褥瘡予防の指示がある。
A医院・往診の様子
・月に2回の往診訪問
・バイタル測定
・問診
・ホーム職員が前回往診日からの様子を報告
・ケース記録、体調管理を確認
・定期薬、臨時薬の処方
・変化に対する対応を指示

訪問看護、訪問の様子
・2箇所の看護ステーションを月2~3回利用。
・バイタル測定
・問診
・ホーム職員から前回訪問時からの生活の様子を報告
・ケース記録、体調管理表の確認
・変化に対する対応の指示

結果

現在では…
<K様の事例で良かった点>
・体力低下はみられるがK様が笑顔で過ごせている。
・肺がんの悪化か、他の原因による状態悪化なのか、在宅で精査するには限界があるが、
主治医と受入病院との連携で迅速に原因が同定できたことで、早期に適切な対応をして頂けた。
・病院から退院する際に、在宅診療を受けている事で
ホーム側が安心して退院を受け入れる事ができ早期退院に繋がった。
・相談したアドバイスをうけることでホーム看護師、介護職が
K様のケアを自信を持って対応する事ができた。
・当初余命は長くないと宣告されたが、入居後2年近くなり家族が共に過ごす時間を幸せに思っている。
・ホーム看護師、介護職員がレベルアップできた。
<K様の事例の問題点>
・体調を気遣い過ぎて外出する機会がなかった事。
・ホーム介護職が訪問看護師を頼りすぎてしまった事。

まとめ

今後の課題
今後グループホームでも看取りを受け入れていく方向になる際、
特定疾患・末期がん・急性期疾患に対しては在宅診療が適応されるが、
その他の疾患では今の現状は導入する事ができない。
入居者様、家族様の安心、対応する職員が安心してケアができるように
医療面のサポートをどうするかが課題である。

そして「その人らしい暮らし その人らしく最期を迎えるために」
CHIAKIほおずき神戸垂水グループホーム入居者様、
家族様に安心して過ごしていただける支援をしたいと思います。
毎日をよりよく生きるための支援をするため、医師や看護師など多職種との連携をとり、
専門職から色々なことを学び身に付けたいと思います。
それが今回のテーマを実現することに繋がると思います。
神戸垂水職員一同、みんなの笑顔を大切に日々頑張ります。