CHIAKIほおずき
2015年度テーマ「生活機能向上の取り組み」

発表テーマ

「あの人の笑顔に向かって」

発表者:Y・K
CHIAKIほおずき明石西
グループホーム

目的

対象者 T様 要介護2
生活歴
Tで生まれ育ち、サトウキビとさつまいも畑を育てて生活してきた。
平成17年 骨粗しょう症と診断される。
平成22年 股関節症を発症する。
平成26年、自宅で転倒して腰椎の圧迫骨折する。Tでの独居生活が困難になり、
兵庫県の娘宅に移住する。
現在まで娘家族宅で同居し、デイサービスを週3回利用している。
T様の声
→「Tで畑を自分でしてきて、サトウキビの皮をむいてきたから腕の力には自信がある
けど、足が痛くなってから歩くのがしんどい。でも元気に歩いていたいなぁ」
ご家族の思い
→「家ではトイレまでの距離が近いので、一人でも伝い歩きで行くことが出来ています。
なんとか今の状態を維持して欲しいです。」
①T様の声「元気に歩きたい」  家族の声「少しでも今の状態を維持して元気でいて欲しい」  というご本人様とご家族の希望を実現したい点。
②Tから兵庫県に移住され、生活は慣れられたものの、 骨粗しょう症や骨折による痛みから動かれる意欲が低下している  様子が見られる点。
③平成27年には25回転/分行うことが出来ていたペダルこぎが、寒さによる股関節症の悪化が
要因と思われる理由で取り組みが 難しくなってきている点
→以上の点を総合して、機能維持の為の取り組みが早急に必要であると考え、今回T様にフォーカスしました。

方法

在宅の現状について
◇少しの距離ではあるが、見守られながら歩くことが出来ている。
◇居宅内で、普段よく過ごしているソファから立ち上がって、トイレに行くまでの距離がおよそ3mである。
伝い歩きと、シルバーカーを使用して歩行している。
歩行機能の維持をしていくために、
長期目標
家の中を安心して移動出来る様に
支援します。
短期目標
トイレまで歩いて移動が出来る様に
支援します。
歩行のための準備運動と、歩行動作の反復練習プログラム
・ストレッチ、柔軟体操(毎朝のラジオ体操:身体各部位の収縮と弛緩を繰り返すことで血流が増加し、動きやすくなる)
・下肢伸展挙上運動
(①両方の下肢を交互に上げる(足ふみ運動)
②座位で膝を伸展する
③座位で膝を伸展した状態のまま、足首を反らす。(左右交互に10回行う))
・椅子からの立ち上がり運動
・歩行移行運動
・歩行運動(手すりを掴んで歩行する)
◇手すりを握り、バランスを保つためのプログラム
・手指運動(カウント(指を折り曲げながら1から10まで声に出して数える)

結果

現在では…
・歩かれる時の笑顔が増え、意欲的に取り組まれている。
・ゆっくりと手すりを持って椅子から立ち上がることが出来ている。
・手すりを摑んで、ゆっくりと3~4m歩行できる。
・下肢伸展挙上運動(膝伸ばし)はプログラム開始時はおよそ40度であったのが、およそ60度まで上がるようになる。
・在宅時やデイがお休みの日にも、簡略化した体操や準備運動をするようになり、在宅時にも少しずつ定着しつつある。
職員の意識の変化
・デイサービスでの機能訓練のみでなく、体操を家でも定着出来る様に声掛けするようになった。
・サトウキビの皮むきのことなど、T様の生活歴に着目して機能維持していく方法とその考え方を学ぶ事が出来た。
・ご本人の意思を尊重することが何よりも大切であるとともに、
出来たことや結果としての数値のみではなく取り組もうとされる姿勢や気持ちに注目して評価することで、
T様の意欲が高まることに気づくことが出来た。

まとめ

反省点
・意欲的に取り組まれていたので、「頑張りましょう」と声掛けしていたがT様の表情をよく見ることを
怠ってしまい、気がつくと笑顔無く、しんどそうな表情をされていたことが1度あった。
頑張っていただくことは大切であるが、モチベーションを継続して持っていただくためにも、
無理がないように配慮が必要であった。
今後の取り組み
現在は、歩行機能の維持が出来ている。
しかしトイレに入ってからの立位保持や更衣動作については介助が必要となっているので、その部分での機能訓練も検討する。
自ら意欲的に取り組まれることが継続して行えるように、働きかけ方や運動方法など工夫してバリエーションに富んだ方法で行うことが必要になる。