CHIAKIほおずき
2016年度テーマ「入浴・身体の清潔保持」

発表テーマ

「自分のペースでお風呂に入りたい」

発表者:N・K
CHIAKIほおずき播磨
グループホーム

目的

K様 94歳 男性 要介護2

病歴:高血圧、心筋梗塞、狭心症、変形性脊椎症、認知症

<入居時のご様子>

・足が上がりにくく、歩行も不安定な状態。
・自分から思いを伝えることもなく、表情も暗い。

<入居時の家族様の思い>

・「今、老健でお世話になっていますが、何をするにも表情がなく、一人でポツンとしています。以前DSを利用していた時は社交的で明るく自分で何でもしていたのに。どうしたら以前のようなお父さんに戻るのでしょうか。」
・「ここは、顔馴染みの利用者様や職員さんがいるので、笑い声が聞けるのでは?」
・「GHを見学した時に個浴と大きいお風呂があったので、お風呂好きのお父さんが喜ぶのではと思った。」

K様について会議を行う

K様が望む入浴の仕方を考え、アンケートを参考に意見を出し合った。

話し合いで見えてきた課題

・歩行が不安定で足が上がりにくい。
・職員の見守りのもと、以前のような洗身・洗髪が自分で出来るようになってほしい。
・既往症に対して気を付けることを知り共有したい。

K様入浴アンケート

・入浴に関して不安に思ってる事
・入浴の工夫
・安全な入浴の方法etc…

<目標決定>

自分のペースでお風呂に入りたい。

方法

◎取り組み

・足が浴槽まで上がり歩行が安定する様に、歩行訓練を行う。

※歩行訓練開始時
・訓練時の様子:無気力で、集中力が無い。
・姿勢:円背で前のめり、手すりに頼りがち。
・視線:伏し目がち。
・足:ガニ股になって、すり足で動く。

・残存機能を活かして洗身・洗髪など自分で出来るところは様子を見ながらしてもらう事で自立支援に繋げる。
・医療面で気を付けることを学ぶ(看護師による指導)
・脱衣室・浴室環境整備(手すり・滑り止めマットetc…)
・入浴方法&工夫(ケアの統一、洗身時の足浴、入浴剤の使用、好みの歌を一緒に歌う)

◎ケア方法の統一

◎看護師による指導

・バイタルサイン
・水分補給(脱水)
・高齢(心筋梗塞)のため気をつけることetc…

結果

◎入浴の工夫

・入浴剤を入れることで温泉に来たようだと喜ばれる。
・お好きな歌を一緒に歌う事でいい表情になってきている。
・職員が話しかけることで会話が弾む。

◎自立支援

・声掛けすることで、洗身・洗髪や着脱など自分で進んで出来るようになってきている。

◎環境整備

・手すりは声を掛けることでうまく使用出来ている。
・動線に敷いた滑り止めマットの上を安全に移動出来ている。

◎実施後の変化

・活発的に活動される機会が増えた。
・入浴の声掛けを行うと、笑顔で自ら浴室に向かう。
・入浴中は全介助が一部介助になり、出来るところはご自身で進んでされるようになった。
・施設のレクリエーションにも積極的に参加されるようになり、GHのムードメーカー的な存在になった。

◎歩行訓練での成果

・声掛けをすると自ら進んで歩かれるようになった。(表情も明るく、鼻歌も出るようになった。)
・姿勢も良くなり、目線も真っすぐになった。
・膝が上がり歩行がスムーズになった。

まとめ

K様が出来る事でも安易に介助を行っていた事で、ご本人様の持っていた残存能力が活かせていなかったことが分かった。
環境を整えることで安全性に配慮でき、自分のペースでの入浴が可能になった。

◎今後に向けての取り組み

・今後も現状が維持出来るように歩行訓練や入浴の工夫などを続けていこうと考えている。
・事例取り組み期間中に地震があり、入浴中に災害が起きた場合に備え、災害時の避難を今後の検討課題として取り組んでいく必要があると感じた。