CHIAKIほおずき
2016年度テーマ「入浴・身体の清潔保持」

発表テーマ

「ポジティブな入浴を目指して」

発表者:F・A
CHIAKIほおずき明石西
グループホーム

目的

対象者①Y様 女性 107歳

・歩行はシルバーカー使用
・円背で前傾で動かれる
・糖尿病性神経障害の為、手指の感覚麻痺がある
・膝の痛みの為、足が上がりにくい
・「出来ることは自分でしたい」と言われる
〔既往歴〕
高血圧症、糖尿病、腰椎変形側湾症
左変形性膝関節症、多発性脳梗塞、腎盂炎
白内障、胃潰瘍、肺炎、狭心症、心筋梗塞

これまでの入浴
アンケート調査より「足が滑って怖い」
浴槽に出入りする際、足が滑ることがある
→加齢に伴って足が上がりにくく、握力も低下
安全に、安心して入浴していただける方法を模索

対象者② H様 女性 85歳

• 認知症(アルツハイマー)、高血圧症、喘息
• トイレ頻回、歩行はシルバーカー、円背で前傾姿勢、デイへは週3回で、
リハビリに週1回通っている。入浴はデイのみ。
• 平成28年3月に自宅のフローリングで後方に転倒して入院、
腰背部痛が出現、レントゲン上胸腰椎多発圧迫骨折、港湾変形をみとめたが、
コルセット装着は現実的でないと判断された。
・3月中旬、当初疼痛や下肢筋力の低下が著明であったが、疼痛は軽減、
下肢筋力の向上が図れたため、退院の運びとなる。
入院中は入浴動作での恐怖心が強く入浴動作が行えなかったので、機械浴で入っていた。
自宅での入浴は困難な為、デイでの入浴を目的でご利用となる。

入浴に関して、
「家で入ってきた」「お風呂が好きではない」「段差が怖い」
と答えるなどネガティブな発言がある。

方法

ほおずき明石西グループホームの入浴について
<<全室個浴の設備>>
メリット:
個人でゆったりと入浴していただける
入浴剤の使用など、個人の希望に沿いやすい
デメリット:
スペースが少ないので入居者・介助者ともに動作に工夫が必要
◎Y様 これまでの入浴
アンケート調査より「足が滑って怖い」
浴槽に出入りする際、足が滑ることがある
→加齢に伴って足が上がりにくく、握力も低下
安全に、安心して入浴していただける方法を模索

〔取り組み〕
★バスボードの使用
→浴槽への出入りに使用して足を上げる際の負担軽減
足を上げる際のバランス安定を図る
→結果・・・
浴槽に入る際
足が上がりやすくなり、動作が安定。スムーズに入られる。
〔課題〕
浴槽へ入る際は安定してスムーズに入ることが出来たが
浴槽から出る際は右手側の持ち手がないため、不安定な状態
になってしまう
「怖い~」と言われる
〔検証と取り組み〕
①浴槽から出て行く方向に、手すりがないので、出る際は従来の足を上
げて、手すりを設置したほうが安定・安心されるのでは?
②入浴に関わらず、生活の中で決まった動作がある。その動作をくずす
ほうが、Y様にとって危険となるのでは?
③利き手側の方向へ入る動作と、利き手と逆側へ出る動作では、バラン
スのとり方が異なるのではないか?

→両手で掴まることの出来るバスボードを利き手側に設置

対象者② H様
入浴にネガティブなH様にどんな働きかけを行うか?
①入浴の効果を説明し、理解していただく
⇒清潔保持・感染症予防・新陳代謝の活発化・血行が良くなる
リラクゼーション・気分転換
②誘導の工夫を行う
⇒入浴の声かけは一人だけ声掛けするのではなく周りの方たちと一緒に入れるよう同じタイミングで
声掛けを行うことで、入浴メンバーを工夫して顔なじみの関係を作ってみる
③声掛けの工夫を行う
⇒コミュニケーションで不安を取り除く声掛け、入浴で体が温まることやさっぱりして気分がよくな
ることを話したり、昔、娘さんをお風呂に入れていたことなど思い出話をしてみる。気分転換に趣味
の話をしてみたり本人様のペースでコミュニケーションをとってみる
④介助の工夫を行う
⇒湯船の段差を怖がられるので段の昇降練習をしてみてはどうか。入浴時の対応は職員二人で介助し
て、しっかりと手や手すりの水分をふき取って、すべらないようにしてみる

★段差昇降運動の実施

 

結果

現在では…
対象者① Y様
入浴に関して、「楽しみ」と言われる一方、「出入りが不安」とのことで、
完全に不安が解消されたわけではなかった。
主観的QOLを向上するためには、入居者様に「いつ入浴するか」まで選んで
いただく必要がある。

対象者② H様
取り組みを続けていたある日、
ゆず風呂に入りましょうか?との声掛けに
「うん、入る」との返答。
◎この日以降、お風呂に入ってあたたまりましょうと声掛けすると
すんなりと「うん」とお返事くださるようになる
◎上がられた後に、「気持ちよかった、温まった」と笑顔で答えられ
るようになる
→完全に不安は取り除かれたわけではないが
少しずつ、入浴に対してポジティブひ変化する。

まとめ

取り組みを通して

一人一人の職員が、入浴・身体の清潔保持を考える上で、「安全」で
あることがまず非常に大切であると強く認識した

★入浴・身体の清潔保持に、危険・恐怖を感じると、不安になる。
不安になると、入浴に対してネガティブになる
ネガティブになると、入浴・清潔保持が困難になり、客観的QOLが
低下する。

入浴の有用性を理解するとともに、入浴・清潔保持の観点からどのように
したら主観的QOLを向上することができるのかを検討し、実施することが
できた。

これからに向けて

安全の確保にゴールはないので全職員が継続して意見共有・問題意識を
持った取り組みが必要

主観的QOLが向上するケアをするためには、生活の様々な場面での関わりの
工夫が必要
⇒自分の意思を決定するためには、分かりやすく選択すること・選択しやすい
環境・関係性が必要になる
人的・環境的どちらもこれから整備・作成が必要

私たちは今回の事例テーマによって
①入浴・身体の清潔保持に際しては、安全の確保がまず第一に大切
②安全が確保されると、安心して入浴ができる
③安心して入浴が出来ると、入浴に対してポジティブになれる
④ポジティブになれると、主観的QOLが向上される
この一連の流れを、デイサービス・グループホーム共に、事業所全体で
認識することが出来た。

これからも、、、
今回の取り組みを生かして、入浴・身体の清潔保持のみでなく
生活の様々は場面で利用者様・入居者様、お一人お一人の
「その人らしい暮らし」(主観的QOLの向上)が構築できるように、
CHIAKIほおずき明石西 事業所全体で取り組んでいきます