CHIAKIほおずき
2017年度テーマ「よりよい食事環境」

発表テーマ

「食事に至るまでの工夫」

発表者:T・A
CHIAKIほおずき姫路高岡
グループホーム

目的

対象者
S様 女性 98歳 要介護4 アルツハイマー型認知症   変形性関節炎(膝・腰椎)慢性心不全
U様 男性 85歳 要介護3    アルツハイマー型認知症   糖尿病(内服なしで安定)
 
《S様の食事環境における問題点》
・正しい座位姿勢を長時間維持することが難しく、お尻がズレた姿勢になりがちである。使用している足置き台の高さも合っていない。
・大きめのスプーンで食べると次々に口に入れムセることが多い、また、口へ入れる際、顎を突き出し上向きになる癖がある。
・ご飯やおかずを混ぜて食べる癖がある。味噌汁の中におかずを混ぜたり、
デザートにおかずを混ぜたりもされる。本氏は「美味しい」と言われるが、美味しくない時は残されることもある。
《U様の食事環境における問題点》
・やや早食い傾向であまり咀嚼せず飲み込んでいる。
・頻度としては少ないがムセがみられる。
・食事や入浴、トイレなどでフロアに出てくる以外は居室にこもりTVを観てすごされており、他者との交流がほとんどない状態で、食事中はほぼ無言で黙々と食べ、食後は直ぐに居室へ帰ってしまい、とても食事を楽しむ環境にない。

方法

《S様への改善策》
◇姿勢を改善
→席に着いた際、エプロンをする際、配膳の際など、常に意識して正しい姿勢が保てるよう介助させて頂くことを徹底。
→新しい足置き台を作成する。
◇ムセ対策
→職員はご本人様が見える位置で食事をし、見守りを行い必要に応じて声掛けをしていく。
→嚥下体操に取り組む。
◇混ぜる行為に対して
→ご本人様の意思を尊重し、明らかに変な食べ方の時にだけ声掛けを行う。
《U様への改善策》
◇さりげなく声掛けを行い注意を促す
→ムセそのものの頻度は少なく、ご本人様も常に見られ声掛けをされることは嫌うので、ムセやすい食材があるときにはさりげなく注意を促す声掛けを行う。
→何度も言ったりすると機嫌を損ねるので注意が必要。
◇他者との交流を増やし楽しい食事環境を築く
→嚥下体操に取り組む(嚥下機能の維持、向上を目的とするだけではなく、フロアへ出る機会を増やし、他者との交流を促進することにより、食事中なども会話しやすい環境を整える)。

結果

《S様実施結果》
◇姿勢を改善
→新しい足置き台により姿勢が改善された。
◇ムセ対策
→見守り声掛け強化により、事例検討期間中に危険なムセはなかった。
◇混ぜる行為
→その人の個性ととらえ見守りながら、「こうした方がいいよ」などの声掛けをして食事をサポートできた。
S様その他の変化
・嚥下体操の効果
→拒否はなく冗談などを言いながら楽しく参加され、他者との交流を含め活気ある生活を送ることができた。
《U様実施結果》
◇ムセ対策
→見守り声掛け強化により、事例検討期間中に危険なムセはなかった。
→声掛けに気分を害することもなかった。
◇楽しい食事環境
→最初は、嚥下体操への参加を拒否されていたが、必要性を説明し参加して下さるようになる。
→体操に参加した際、他者とのコミュニケーションが自然ととれており、食事中にも会話することが増えた。
U様その他の変化
・嚥下体操の効果
→体操に参加しながら他者との交流を深めたことにより、食後もしばらくフロアに居られ他者と会話するなどし、自ら積極的な交流を図るなど活気ある生活を送ることができた。

まとめ

《気づいたこと》
今回これらの実施を経て、食事中の環境そのものよりも、「食事に至るまでの環境」が大切であると言う事に気づかされました。

今後に向けて》
安全に美味しく食べて頂く為に行った嚥下体操では、単に日課として義務的に行うのではなく、
笑顔のある楽しい雰囲気の中でご入居者様同士のコミュニケーションをとって頂くことができました。
それにより日常生活全般に少し活気が出てきて、食事中の会話が増えるなど環境が以前より良くなったと思います。
また、食事の準備を手伝って頂く中で黙々と作業をこなすだけではなく、会話も楽しみながら食事の準備をする家族団らんのような温かい環境を作ることができたと思います。
これからも利用者様の笑顔あふれる楽しい食卓を目指して日々取り組んでまいたいと思います。