CHIAKIほおずき
2014年度テーマ「食べる」を視点にケアを考える
③
「食生活を知る…」
発表者:N・SCHIAKIほおずき揖保川
グループホーム
目的
対象者 K様 要介護5
K様の状態
・視覚→視野の狭窄有 聴覚→良
・アルツハイマー型認知症
・車椅子での生活
・右手、両足が動きにくい
・感情の波があり大声で叫ばれる事がある
・精神が不安定な時は意思疎通難しい
・食事は左手で手づかみで食べられる
・義歯は使用しておらず歯が1本
・意欲の見られる時は自力摂取される
・手が動きにくい時は『助けてー』と助けを求められる
・時間が掛かっても全量食べられる
・水分は介助で飲んで頂いている
・嚥下能力が少し低下しているため、咳き込まれる事がある
・食べている物が何か認識できない事がある
・目を閉じた状態で食事をされる
・飲み込みにくい肉などは刻んで提供
・精神の不安定な時は自ら手づかみされても食べられる事はない(皿から出す、物を潰す)
<家族様から頂いた情報>
・肉料理、酢豚、南瓜、餡子、餅、パンが好き
・特に味の濃い物が好きだった
・骨の多い魚は嫌いだった
・家族が多かったため賑やかに食べる事が多かった
<家族様の願い>
自分で大きいお好み焼きを食べているのを見て元気だなと思いました。
手で食べていたけれど、介助だとそれが本人にとって当たり前になってしまうので、
手が動く間は形ある物を自分の力で食べてもらいたい。
方法
<食事に関する課題分析>
・K様自身の様子
右手の機能低下
座位姿勢保持能力の低下
食事への興味、関心が薄い
食欲がある
噛む力がある(肉は難しい)
長時間でも食べきる体力がある
助けて欲しい時の意思伝達ができる
好きな物が言える(餡子、イカ、寿司など)
周りの人を気遣う時もある
職員の食事介助の仕方、方向性
・K様の認識度チェック
目で見て色、物が何かわかるか
触れて物が何かわかるか
匂いがわかるか
食べて味がわかるか
⇩
色彩、甘味の認識がある事がわかった
水分から摂って頂く。
<職員のケアの方法>
介助を行う時は誤嚥に気をつけ口の物が無くなれば、口に物を入れる。
<『食べる』に重点を置いた声掛け。>
・K氏が物を想像しやすい声掛け
食べ物のメニューと配置を伝え、自ら食べて頂ける環境作り
選択肢を提供し、自ら選んで物を食べて頂く
K氏の好みの物を食事やおやつで取り入れる
・彩りの良い食事の提供
食事環境への配慮①
茶碗のごはん→おにぎり
切ったパン→水分を含んだパン
食事環境への配慮②
普通食→刻み食
・姿勢への配慮
体幹保持
・衛生面への配慮
食事前、食事後の手洗い
エプロンで清潔保持
・その他
Yes、Noで答えれる質問をする。
スプーンを使用して介助を行う。
自立されている時は水分のみ介助を行う。
結果
現在では…
・自ら手を伸ばして食べられる回数が増えた
・食事中の会話(美味しい、甘いなど)が増えた
・笑顔が増えた
・自らスプーンを持ち意欲的に食事をされた
まとめ
今までの食事は単に『食べる』だけで何を食べていても一緒のような感じであった。
この取り組みにより、職員の声掛けの仕方が変化して、
好きな食べ物のワードにK氏が刺激され、意欲的になったのではないか。
認知症の人にとってはこれまでの生活背景や価値観が大切になるので、
食事に関してはその人の『食生活』の背景を探り、合わせていくことが重要になる。
食生活を通して食事に関わる情報を探る中でも、今まで見れていなかった視点等に気づいた。
地位、立場、環境などでも食事のスタイルはさまざまで、
そこで生まれた価値観が現在の生活に反映されている事も多くみられた。
この度は、『楽しみながら食事を行う』を目標としたが、
楽しみ方もより深く探ることで食生活の質をさらに高めていけると感じた。