CHIAKIほおずき
2016年度テーマ「入浴・身体の清潔保持」

発表テーマ

「連携・協力と安心安全の介助」

発表者:M・T
CHIAKIほおずき姫路南条
デイサービス

目的

対象者 K様 90歳 要介護5 女性

身体面

・寝たきり
・胃ろう
・皮下出血しやすい
・表皮剥離しやすい
・関節に拘縮がある
・右腕肘関節より胸前にて拘縮
・左腕伸びきった状態にて手首外向きに拘縮

※以前には
・右大腿骨頚部骨折
・左大腿骨頚部骨折
・右上腕骨折

屈曲拘縮・・・関節が曲がった状態で伸びなくなる。
伸展拘縮・・・伸びた状態で曲がらなくなる。

 

日中の過ごし方

来所後フロアにてバイタル測定
皆様と一緒にフロアにて過ごす
状態観察とケア・処置を必要時おこない⇒入浴
入浴後はベッドにて過ごす
胃ろうよりラコール400ml投与後、白湯50ml投与
バイタル測定
胃ろうより白湯50ml(15時)投与
口腔ケア
バイタル測定
パット交換・陰部洗浄

皮下出血

皮膚は大きく分けて3層構造になっており、
一番上の層から「表皮」⇒「真皮」⇒「皮下組織」
となっています。
この皮下組織部分に出血した事をいいます
出血し血腫(血のかたまり)ができること
表皮剥離しやすい状況にある

「K様が起こりうる状況」
・移乗時、車椅子の肘掛にぶつけてしまった為に起こりうる
・移乗時、抱える職員が力を入れ握ってしまった為に起こりうる

表皮剥離

高齢になると皮膚の細胞が減少
→代謝機能の低下
→肌の皮膚が薄くなる
→免疫細胞も衰える
→表皮剥離しやすくなる
「特に皮下出血、乾燥している部位に起こりやすい」

※介護職員の注意点
爪は伸びていないか
移乗時ぶつかる物はないか
拘縮部位・皮下出血部位の把握はできているか

「K様が起こりうる状況」
・入浴の際に衣服やストレッチャー等に擦りすぎてしまった為に起こりうる。
・着替える際、衣服が強く擦れた為に起こりうる。
・清拭の際、タオルが強く擦れた為に起こりうる。
・移乗時、車椅子にぶつかった為に起こりうる。
・移乗時、抱える職員が力をいれ握ってしまった為に起こりうる。

拘縮

関節周囲組織が障害されて、関節が固定し
他動的に動かす事が出来なくなった状態。
怪我、病気(廃用症候群)による寝たきりにより
長期的に身体を動かさない状況が続いた
※注意:可動域を見極める必要あり

方法

<これらを踏まえて入浴介助>

拘縮への対応・服の着脱
⇒右脇部分を切り加工して下さる

右腕の脱衣介助
⇒腕サポーターをしたまま脱衣
⇒手首を守りながらゆっくりと抜きます

背中から右腕の脱衣介助
⇒左腕は抜き取るようにゆっくりと

<入浴での清潔保持~お風呂場での状況~>

K様の脱衣は浴室でストレッチャーの上で行います
⇒シャワーをかける
⇒洗髪、洗身
⇒シャワーをかける
⇒ストレッチャーの移動、湯船につかる
⇒ストレッチャーの移動、上がり湯をする
⇒身体の水分をふき取る
⇒ストレッチャーにて脱衣場へ移動

<入浴での清潔保持~入浴後の脱衣場の状況~>

・両腕、両足にサポーター着用
・体に持参されている保湿クリームを塗布する
・体温を奪われないように素早く介助を行い着ていく
・出来る限り方向転換は少なく

<服の着衣介助>

・左肘辺りまで袖通し服を右半身へと送る。

<右拘縮部の着衣>

・右袖口加工部に一度肘を入れる
・服に余裕を作り右手首を通していく

<着衣最終過程>

・右肩を入れ右半身を整える
・左肩まで服を上げて左半身も整える

結果

・ スキルのある職員がサポートに回り、サポート側だった職員が対応する事により、特に注意すべき点がわかる様になった。
・ 特浴での入浴介助に不安を感じていた事が、回数を重ねていく事でK様の身体状況の把握が深まり不安が減りスキルアップにつながった。
・ ご家族様との連携が上手く取れていることにより、お互いに提案や連携がよりみつに取れている。
・ 職員全員が何らかの不安を感じている事に対し他職員がその不安に対して耳を傾け協力する事により職員が不安材料を減らし、又スキルアップにつながった。

まとめ

<考察>

・ 特に注意をするべき事がわった事により、利用中の怪我や事故を防ぐ事ができる。
・ 対応への不安が減りスキルアップになった事で、対応出来る職員が増え全員での対応が出来るようになる。
・ ご家族様の気持ちに応えていける事でご家族様の介護負担が少しでも減少し笑顔や信頼にもつながる。
・ 職員同士が協力をして不安材料を減らす事により、職員同士の信頼関係にもつながり今後も事故のない職場作りができる。

<今後の課題>

・ 不安材料が出た時に、早い段階で職員間でよく話し合いを行い解決に向けて実行できるようにする。
・ これからも、多くの利用者様と縁する中で、ご本人様・ご家族様の気持ちによりそったケアを行う為に、職員一人ひとりの介護技術の日々の向上とその方に合った介助方法を考えていく事を忘れない。