CHIAKIほおずき
2016年度テーマ「入浴・身体の清潔保持」

⑫『2016年度がんばったで賞』

発表テーマ

「楽しみを持ち入浴ができるように。」

発表者:M・M
CHIAKIほおずき加古川
グループホーム

目的

特に入浴拒否が強い方を対象として対応する。

対象者① K.K様 要介護2 79歳 女性

既往歴:脳梗塞(麻痺なし)・アルツハイマー型認知症・左肩腱板損傷
性 格:
人の好き嫌いがはっきりしている。介護拒否が多い。
新しい場所・人に馴染むのに時間がかかる。
認知症により自分の伝えたいことが伝えきれずイライラしている。
(相手を威圧することで落ち着きを取り戻しているように見える。)

<入居時の家族の思い・家族からの情報>
・サービス付き高齢者向け住宅では、入浴できなかったので、できるだけ入浴して、清潔にしてほしい。
・今までは、他者との関わりで混乱していたため、CHIAKIほおずき加古川では穏やかに過ごして欲しい。
・そばにいてあげることが出来ない分、少しでも穏やかにしてほしい。

<目標>
・職員との信頼関係をしっかりとつくる。
・入浴ができなくても「更衣・足浴」をして清潔保持をする。
・誰の声かけでも拒否なく入浴できる。

 

対象者② S.A様 要介護1 90歳 女性

既往歴:逆流性食道炎(現在自覚症状なし)・アルツハイマー型認知症
性 格:
人当たりはよく話をして頂けるが、こだわりが強い。
認知症の進行に伴い、収集癖が出てきている状況。
金銭的な事が、心配。

<入居時の家族の思い・家族からの情報>
・自宅で過ごしており、介護サービスなど何も利用していない。
・入浴なども全くできておらず、自宅内も物で溢れている。
・洋服なども特定の物しか着用しておらず、破損状況が酷い。
・靴下や靴が汚れるのがいやだと言われ、足カバーとしてビニール袋を使用して足に直接巻き付けて生活していた。

<目標>
・職員との信頼関係をしっかりとつくる。
・入浴前にバイタル測定を行い、当日の体調を把握する。
・入浴ができなくても「更衣・足浴」をして清潔保持をする。
・誰の声かけでも拒否なく入浴できる。

方法

対象者① K.K様の場合

実践の内容
・入浴前にバイタル測定を行い、当日の体調を把握する。
・男性職員に対して拒否のある為、同性介助を考え女性職員で行う。
・脱衣所周辺に複数名人がいる際、拒否が見られる。その為入浴誘導時周辺に人がいない状況を作る。
・家族の協力を依頼する。(外出時、銭湯や温泉などを利用する。)

※成功したとき
・パートナーMさんの入浴での声かけの成功例:フロアで世間話をしながら、気持ちを和ませる。
・パートナーNさんの入浴での声掛けの成功例:「一緒にシャワー浴びますか?」「一緒に入りませんか?」と声をかける。
・日中通して、笑顔が多く、職員に自ら話しかけてくる際。安心感を感じているような話し方をしている時。
・フロアにて穏やかに過ごしている時。

※失敗したとき
・脱衣所のドアの向こうで人の声が聞こえた時(特に男性職員の声)
・浴室内を確認し、「気分が悪いからいらない」「今日はいや」と言われる。
・脱衣所周辺に人の気配があった。
・脱衣所周辺にて人の声が聞こえた。(特に男性職員)
・入浴したくなかった。

 

対象者② S.A様の場合

※入浴・整容できるまで

・12月中旬、入居。穏やかにほかの方と過ごされる。異臭がする為、入浴を進めるが拒否。足元もビニール袋でカバーをしている為、フローリングで滑り危険な為、靴への履き替えを促すも拒否。
・本人様の気持ちとしては、「そんな気分じゃない」「私、汚いから悪い」など介助者への気遣いが見られる。
・12月中旬、朝夜勤明けパートナーEさん
足カバーのビニールが破れており、靴下と靴の着用を促す。右足の小指から足の裏にかけて赤み・痒みが強くある。足浴のみ行える。入浴は強く拒否。
・12月中旬、日中 入浴進めるも拒否
・12月下旬、中吉澤施設長・早出パートナーIさん
朝食後、早出職員と施設長に「役所に行きたい。」と言われる。「役所に行くなら、綺麗にしていったほうがいいと思いますよ?」と施設長と話をしておられる。
・本人様より「お風呂入れるの?」と希望があり、10:00頃入浴する。「すごくお金がかかるでしょう?」という不安の声が聞かれるも不安を軽減し入浴できる。
・入浴後は、さっぱりして気持ち良かった。
・「ありがとう」と言われる。

結果

<現在の様子>

対象者① K.K様の場合
・特定の職員の声かけで入浴できる。
・その日の気分でほかの職員での声かけにも応じて入浴して頂ける。

対象者② S.A様の場合
・入浴して頂き、緊張もほぐれたのか、職員や利用者さん同志の会話も増える。
・本人様より散髪の希望もあり、訪問理美容にて対応する。
・その後、入浴拒否なく入浴して頂ける。

まとめ

この事例発表を通し、人との関わりのある仕事をしている事。「介護」という仕事ではあるけれども、人間同士のあたたかみのある介護を行う必要性を感じ、学びました。