CHIAKIほおずき
2016年度テーマ「入浴・身体の清潔保持」
⑪『2016年度優秀賞』
「清潔」
発表者:N・YCHIAKIほおずき姫路津田
ショートステイ
目的
対象者A.K様 要介護度2 80歳 女性
[既往歴]
盲腸(30代)S状結腸(80歳)
認知症(日常生活自立度Ⅰ)
[サービス導入の経緯]
H28年10月にS状結腸癌にて手術。下行結腸にストーマ造設しストーマパウチの自己管理・交換練習の目的でデイサービスを利用する事となる。
方法
通所介護計画の策定
・ストーマ造設より期間が浅く、介護サービスも初めての利用。
・本人の不安軽減等の配慮が即座に必要と判断。
・入浴時にストーマ及び周辺の状態観察・清潔が必要。
・入浴での清潔保持の持続にむけて入浴に対して消極的にならないようにする必要がある。
居宅介護計画書と上記観点により、通所介護計画書に『持続的な清潔保持』と『パウチの交換が出来る』を本人の目標とし、支援者として入浴時の羞恥心配慮と、本人と看護師によるパウチ交換の練習・ストーマ周囲の状態確認を取り入れ実施する事とする。
・ストーマやパウチを少しでも気にせずに入浴できないか
↓
・市販の入浴用のパウチシート等消耗品で値段も高い
↓
・腹巻と洗体タオルの機能性を融合してみては?
◎作成時におさえておきたいポイント
・加工が容易である事
・パウチがしっかり隠れる事
・体に負荷がかからない事
・肌にやさしい事
・水にぬれてもずれにくい事
・乾きやすく清潔が保てる事
・誰にでも扱いやすい事
・見た目の違和感が少ない事
・本人が参加できる事
◎取り組み
・タオルは水捌けと肌触りを重視
・ストーマ・パウチの位置、腰周囲の測定
・肌に触れない部位にマジックテープを縫い付け
・本人も職員と一緒に作成
「色々こうやって考えてくれてる事がホントに嬉しい。」
①パウチとお腹の間にタオルを挟む
②折り返してパウチの前面を覆う
③タオルを一周させる
④マジックテープで接着し整えたら完成
※濡れたパウチと皮膚との接触面を少なくし不快感を軽減
※水捌けが良く重くならないので、ずれずに使用が可能
※巻く事で脱着時にストーマやパウチへの負荷が少ない
結果
<結果>
恥ずかしいと回答された方の様子の変化
A氏より
「私の為にこのように考えてくれて嬉しい。ありがとう。こんなにも良くしてくれるから心も身体もさっぱり出来て、毎日でも来たい。」
と言葉があった。
恥ずかしいと回答があった利用者からも取り組みに対して嬉しい、ホッとするという言葉があった。
まとめ
<考察>
羞恥心への対策に着目したが、『出来るかもしれない』と前向きに考える事で、利用者の不安を1%でも安心に変える事になれば、利用者と介護者が築く入浴による清潔保持の意味合いや効果は高まるものと考える。
特に『ありがとう』や『ごめんね』等の感謝や遠慮からでる言葉ではなく『嬉しい』や『安心(ホットする)』等利用者の開かれた気持ちが言葉として増えた点においては、利用者の自尊心を豊かにしているのではないかと考えられる。
<評価>
アンケート実施により、入浴介助の羞恥心に対する想いが浮き彫りになった事。また支援者として配慮が怠っていることが当たり前になっていた点は反省する良い機会であった。
その事を踏まえ、介護知識の有無に関わらず『人として入浴する時に生じる羞恥心』を職員一人一人が考える時間を持つことができ、少しでも軽減できる介助方法を見出そうとする動きがみられるようになり、相手の立場に立った視点でケアを考えることの大切さを改めて実感できた。
<今後に向けて>
『入浴、身体の清潔保持』という基軸のテーマの中、どのように課題を整理し取り組んで行くかが難しく、改めて『清潔』という言葉を調べてみました。
『潔い』という言葉の意味には『清らかで、気持ちよく、汚れや不安のない心模様』が含まれる様です。
そこで利用者本位の清潔保持の為には、身体と心の両方に働きかける必要があると考えました。
その中で見えてきた尊厳(羞恥心)の問題。
昔の介護と今の介護に違いがあるように、今ある介護を常識と考えず、これからの介護にむけて利用者1人1人の尊厳を見極めながら利用者本位の支援方法を何度も振り返り、利用者が自らを肯定し自尊心を養い育める支援をこれからも追求していきたいと思います。