CHIAKIほおずき
2016年度テーマ「入浴・身体の清潔保持」

発表テーマ

「その方らしい入浴とは…」

発表者:M・M
CHIAKIほおずき姫路辻井
生活介護

目的

対象のご利用者様紹介

氏名: K様
年齢: 60歳
区分: 障害支援区分4 療育手帳B 2種
既往歴: ダウン症、白内障、神経痛
移動: 杖歩行
生活環境: 兄と2人暮らし

<主たる障がいについて・・・>

K様の主たる障がいとしては、ダウン症があげられます。

※そもそもダウン症とは・・・
体細胞の21番染色体が1本多く存在し、計3本持つことによって発症する先天性の疾患群である。多くは様々な合併症を伴うことが多く、知的障がいや先天性心疾患、低身長、筋力の弱さ等があるが、全てが必ず合併するわけではない。
(参照:NPO法人アクセプションズ)

入浴アセスメントの実施

◇ 本人の希望

「お風呂は好き」
「楽しくお風呂に入りたい」
「ごはんの時間も気になる」

◇ 家族の希望

「拒否もあり、家で入ったとしても、どのように入っているか分からない。定期的にきっちり入ってくれたら…」
「強く拒む場合は無理強いはしなくてもいい…でも、出来れば入ってほしい」

入浴提供時における課題

○声掛け~脱衣場に至るまで

• 声掛けするも、スムーズに動かれない、歩こうとされない
• 何か気になる事があると、他の行動には移りにくい
• 声をかける職員によって反応が全然違っている

○脱衣場~浴室に至るまで

• 一つひとつの行動にこだわりが強く、他者が関わろうとすると強い拒否されることがある
• 一つひとつの動作がゆっくりで時間がかかっている

○浴室~入浴を終えるまで

• 転倒の危険ある為、声掛けするも自身のペースで動かれる
• 洗髪をさせてくれない
• 浴槽内で急に立ち上がろうとする
• イス浴でイスを倒す時に声掛けするも、不安が大きく怖がってしまう

方法

取り組み内容

○脱衣場~浴室に至るまで

• 周りをあまり意識せず、自身のペースで動ける様な周辺環境の整備
• 座る場所等の配慮
• かごの置き位置への配慮
• 他者との距離感への配慮

○浴室~入浴を終えるまで

• 周辺環境の配慮
• 自立支援への配慮
• イス浴での不安解消に向けての配慮

結果

<実施後の結果>

・ 声掛けでは動かれない
・ 職員によって反応に差がある

→ 声掛けからの動きだしに関しては、以前よりもスムーズに動き出すことができる様になった

・ こだわりが強く、他者の関わりを強く拒否
・ 一つひとつの動作がゆっくりで時間がかかってしまう

→ 本人のペースで出来る様にした為、時間はかかってしまうが、納得して動かれる様にはなった
→ 一連の流れを習慣化することで、利用者様自身もリズムに慣れた

・ 洗髪をさせてくれない
・ 転倒の危険ある為、声掛けするも自身のペースで動かれる
・ 浴槽内で急に立ち上がろうとする
・ イス浴の動き等、不安が大きく怖がる

→ 洗髪に関しては、本人に任せる様にした
→ 動作、不安面に対しては、声掛けの仕方や職員により差はあるが、本人にきっちり話をし、理解してもらう事で軽減はしている

まとめ

<考察>

・ 本人の言動と、心の中での思いには差があり、本当の思いをくみ取る事の難しさ、在宅生活の支援には、その心の声も含めたアセスメントの重要性を改めて感じた
・ 相談支援や家族との情報を共有していく中で、互いに把握しきれていない情報も見られ、よりきっちりとした情報の共有を図る事で、より良い支援に繋げていく事ができる

<評価の共有>

○本人より

「入ったらすっきりして気持ちいいで」

○家族より

「本人が気分よく入ってもらえたらそれが一番」
「最近は声をかけると家でも入るようになってきたが、声掛けしないとやっぱり入らない…」

○施設より

・ 本人がその時に発する言動に対する思いをきちんと把握していく事で、その先にある変化に繋げ、可能性を広げていける事を意識しながら、情報を共有する事の重要性を再認識できた
・ 自分で出来る事が増え、変化に繋がったは良かった
・ 一人ひとりに合った支援方法を検討し、工夫していく事で、しっかりと根拠のある支援に繋げていく事が出来るようになった
・ 本人が思う『楽しく』の意味合いを理解するまで時間がかかった。信頼関係がまだ不十分だと思った
・ 障がい特性を理解し、その中で出てくる思いのくみ取りが十分でなかったと反省した

<今後に向けて>

・ 利用者様一人ひとりを振り返る機会となり、生活における課題をご家族様含め一緒に考え、在宅での生活をより豊かなものにしていけるように取り組んでいく
・ 「できない」が当たり前になるのではなく、「できる」を増やしていく事で、より自力アップに繋げていきたい
・ 利用者様の障がい特性や性格等をさらに深く知り、思いに応えるべく関わるもの全てが共通認識を持ちながら、自分らしく生活する為に必要な支援方法を見つけ出していきます