CHIAKIほおずき
2017年度テーマ「よりよい食事環境」

発表テーマ

「食べることに喜びを」

発表者:Y・Y
CHIAKIほおずき神戸垂水
グループホーム

目的

対象者:Y様 女性 96歳 要介護度2
<生活歴>
グループホーム入居前は一人暮らし。車で20分程の所に長男夫婦がいるが、仕事もあり、週に1~2度自宅へ訪問する程度。
友人も多く、外出すること(特に旅行)が好きだったが、転倒により股関節の手術を行い、それ以降引きこもりがちになり入居に至る。
<現在の状態>
加齢による体力の低下はあるものの、シルバーカーで歩行している。
排泄は見守り、一部介助にて可能。
食事は普通食をご自分で召し上がられていたが、年々、食べる意欲が減退し少しずつ咀嚼能力の低下が見られ、固いものが食べづらくなっている。
また、固い食材を長い時間、咀嚼するため、疲れも生じ提供した食事を残すことが増えてきた。
認知症状は、短期記憶障害があるが、コミュニケーションは図れており、他者との交流も活発。
理解力もあり、職員との会話も理解できている。
《目標》
☆食事することに対する意欲の向上
☆食事を残すことなく食べられるようになる
☆バランスの良い食事を摂ることで健康状態を維持する

方法

<A様のお食事での問題点>
・おかずの大きさで飲み込むまでの時間が掛かりそれによる疲れも出て食べ残しが増加した。
・嚥下能力、咀嚼能力低下により繊維質の食材の食べづらさに気づいた盛付けが雑で見た目に美味しさを感じなかった。
対策】
・お箸でつまみやすい大きさに切って提供する
・繊維質が多い食材は提供せず食べやすい違う食材を提供する
・繊維質を感じさせない調理方法の実践
・盛付けの工夫をする(盛付け方法、お皿の変更)
・食事量の変更
・口腔体操の実施
・医療機関との連携(咀嚼力維持、向上のため)

結果

【結果:おかずの大きさ】
お箸でつまみやすい一口大の大きさで提供することで「食べやすくなった」と食べやすさに変化があり、飲み込むまでの時間が短くなった。
【結果:繊維質の食材】
繊維質の食材は違う食材を提供する、細かにカットする、調理方法を変更する、提供量を少なくすることで食べ残しが減少した。
【結果:見た目】
おかずを盛り付けているお皿がランチプレート皿で、ひと皿で数種類盛り付けることのできるお皿の為、
綺麗に盛り付けても同じように見えてしまっていた。
食べづらさを減少させるだけでなく、目で見ても楽しんでいただきより食べる楽しさを感じてもらえるようにお皿の種類を変更した。
見た目にも華やかになり、より喜ばれて「まあ~綺麗!美味しそう!」と周りの方にもお話しながら召し上がらていた。
【結果:食事量・体重】
事例検討前までは食事量の減少、食べ残しが見られていたが、課題を解決していくことで食べやすくなり、食べ残しが減少し食事時間も短く
なった。食事量も繊維質の食材を残すことはあるが概ね完食されるようになった。
☆実施を行ったことによる職員の変化
今まで、口腔体操をしている職員は限られていたが、全員ができるようになった。
口腔体操や唾液腺マッサージを行う効果を職員全員が理解することで入居者の健康状態の把握が進んだ。
入居者のアセスメントを行い、一人一人に合わせた対応を行うと入居者本人の意欲の向上や楽しく食事をしている場面を多く見ることができ、認知症ケアの学びが深まった。

 

まとめ

《今後に向けて》
今回の対象者は、職員とのコミュニケーションができた為、好みの問題にも答えてくれたり、咀嚼能力、嚥下能力の維持、向上の為の運動にも参加できたが、意思疎通や理解力が低下している入居者にも同様の事ができるとは限らない。
事実、口腔体操は他の入居者も一緒に実施したが、出来る人もいれば出来ない人もいた。
今後、出来ない人への対応の仕方が課題として挙げられる。
食事は生きるために必要なエネルギーを摂取し、生命を維持する為に必要な行為だと理解が深まりました。
今までは量をしっかり食べてもらうことに気がいくばかりでしたが、どんなことで食べることに困っているのかを知ることで食事の提供方法に工夫し、その為の情報を知るための傾聴がコミュニケーション力の向上につながりました。
入居者様が美味しく楽しく食事をすることで豊かな生活を送られるようにこれからも努力していきたいと思います。