CHIAKIほおずき
2017年度テーマ「よりよい食事環境」

⑭「最優秀賞」

発表テーマ

「みんなと食べるとおいしい」

発表者:O・S
CHIAKIほおずき揖保川
グループホーム

目的

対象者:A様 89歳 要介護1
<生活歴>
・戦後建具店を経営し、70歳まで活躍。
・趣味:家族や釣り仲間と旅行に行く。
・性格:世話好き。
・8年前に奥様をなくされ一人暮らし。生活支援をされている娘様たちに、感謝の気持ちをお持ちである。
・入所前は一人暮らしだったので、食事は自分で作っていた。
・傾眠が多く、昼夜逆転傾向にある。
・周囲の方との馴染みが薄い。
・喘息をお持ちで、自身で吸引されている。
<A様の目標>
「日頃、世話になっている娘たちに、わしが作ったご飯を食べさせてやりたい」
娘様たちへの感謝の気持ちを伝えるため、『おもてなし食事会』という場を設け、A様が食材調達や調理の中心となり、利用者間の交流、家族様との親睦を図りながら、A様の活性につながっていくように実施していくことにしました。

方法

【実施方法】
①食材の調達(魚釣り)
釣り場に到着すると海べりで釣り人を発見し、自らそばへ寄って行かれる姿が見られました。
また、いつもはすぐに座ってしまわれるのに、この日は約1時間立ちっぱなしで釣りを楽しまれ
釣りの心得や魚の種類、周囲の釣り人の様子など色んなお話をして下さいました。
②手料理にチャレンジ1
◇献立(鰯の生姜煮・肉じゃが)◇
釣り場近くの魚屋さんから仕入れた鰯を使い、以前の感覚を思い出しながら、煮魚を作って下さいました。
肉じゃがも、周囲の女性たちが「おっちゃんだけにさせられへんなぁ」とばかりに野菜の下準備を手伝って下さり美味しい煮物が出来上がりました。
③手料理にチャレンジ2
◇献立(手巻き寿司)◇
フライパンに卵を流しいれ、時々火加減を見るために持ち上げられていました。火は無いのですが、
習慣としての感覚がよみがえっていたようでした。
A様の手さばきを、カウンターから女性たちがにこにこと覗き込んでおられました。
④手料理にチャレンジ3
◇献立(サバの味噌煮)◇
調理をお願いし始めた頃は「何でわしがせなあかんのですか」と言われていましたが、チャレンジしていく過程の中で
自分の役割のように手洗い・準備されたエプロンをし、職員と一緒に調理に取り掛かられました。
⑤お食事会
◇献立(いなり寿司・鰯の梅煮)◇
娘様たちと共にお話しながら盛り付けられました。
食事会の準備に皆さんも協力
職員が一人にお手伝いをお願いすると、自然と2人、3人・・・ほとんどのご利用者様が協力して下さいました。

 

結果

《現在では》

食材調達として釣りに出かけたことで、生活の中に楽しみを見つけられました。
調理チャレンジをしたことにより、ほおずきでの役割を持たれ、生活に意欲が生まれました。
食事会の開催で、周りの方々との連帯感が芽生え、ほおずきにも馴染まれました。
A様の生活歴の中で、長い間、社長として職人として父として、生きてこられた地盤がありました。認知症の為、忘れがちなその生活を、食事環境を整えることで思い出す事ができた結果だと思います。

まとめ

《今後に向けて》
日々の様子をしっかり観察し、A様に寄り添い、発せられた言葉に耳を傾け、出来ることは継続していただけるよう支援していきます。
さらに出来る能力(隠された能力)を引き出し、生活の活性に繋げていくよう、職員間で連携を密にし、支援していきたいと思います。
今回、A様が取り組まれた「おもてなし食事会」 は、A様のこれまでの社長としての習慣や、親としてのあり方から、
「食事をふるまう」ことを思い出して下さったようでした。
今後も利用者様にとって「よりよい食事環境」になる様に取り組んでいきたいと思います。