CHIAKIほおずき
2017年度テーマ「よりよい食事環境」

発表テーマ

「食事と口腔ケアについて」

発表者:K・N
CHIAKIほおずき姫路阿成
デイサービス

目的

今回デイサービス姫路阿成が口腔ケアに取り組むことに決定した理由は、事業所としての取り組みが乏しく、
家族様のニーズも不明な点があった。
また、認知症ケアの視点から見ても食事の重要性を再確認する機会にしたいと思いからこのテーマとなりました。
対象者:T.M様 女性 82歳 要介護4
《病歴》
・左大腿骨骨折人工骨頭置換術(H23)
・アルツハイマー型認知症(H26.8~)
昨年秋頃から嚥下機能が低下傾向となり、ケアマネジャーからも食事形態について相談があり、ミキサー食へと変更。
家族様からは、「何とか回復して欲しい…」との希望があり口腔ケアの導入を始めました。
しかし、始めは声かけに応じてもらえず義歯の確認も難しい状況が継続。自分の行動の流れが変化する事を好まない事もあり、フロアでの関係性を向上させるようにしました。

方法

《口腔ケアの取り組み》
◇口腔ケアの実践◇
・T様は食事に関してかき込んで食べてしまう癖が出始めた為、小分けにしながら少しずつ食べて頂ける様に対応しました。
・ご本人様との信頼関係が構築出来てきたこともあり、洗面台で歯ブラシを使用した口腔ケアを実施。
◇口腔体操の実施◇
「お口筋力アップ」プログラム
お口の周り(口輪筋)や頬(頬筋)の筋力アップを図ることで、食べ物が口からこぼれ落ちてしまうことや、
逆に食べ物が口に残ってしまうことを防ぎます。このような筋肉の働きによって、円滑な咀嚼が行われます。
「食べ物を口腔内へ取り込み」、「円滑な咀嚼運動がなされること」を図るために、口腔周囲の筋肉の筋力向上や働きを高め、表情筋の機能を向上させることを目的としています。
・口唇運動「ウー・イー・ンー」 【目安:3回ずつ】
・唇をしっかり突き出して「ウー」と発声します。
・唇をしっかり横に引いて「イー」と発声します。
・唇をぎゅっと閉じて「ンー」と発声します。
・頬のふくらまし 【目安:3回ずつ】
・口を閉じ、片側ずつ左右の頬をふくらませます。
・口を閉じ、上唇と歯の間に空気を入れふくらませます。
・口を閉じ、下唇と歯の間に空気を入れふくらせます。
「かめる度アップ」プログラム
食べ物を噛みしめる際に使われる筋肉(咬筋、側頭筋など)と、口を開くときに使われる筋肉(舌骨上筋群など)の筋力アップを図ります。
加齢にともなう咀嚼力の低下を予防することを目的として、特に食べ物を噛む際に中心となる咀嚼筋群の筋力向上を図ります。
・口の開閉「アー」・「ンー」 【目安:3回ずつ】
・ゆっくり大きく口を開けて「アー」と発声します。
・口を閉じて、舌を上あごに押し付けるようにして、奥歯を噛みしめながら「ンー」と発声する。
・手のひらを軽くあて、咬筋、側頭筋のふくらみを確認します。
・開口運動・閉口運動 【目安:3回ずつ】
・利き手を軽く握り、あごを包み込むようにあてます。反対側の手は肘にあて、軽く抵抗を加えるようにします。
・抵抗に逆らうようにしながら、ゆっくり口を開けます(開口運動)
・抵抗に逆らうようにしながら、ゆっくり口を閉じます(閉口運動)
「唾液力アップ」プログラム●三大唾液腺のマッサージ
セルフケアの手法として、唾液線を刺激し萎縮を防いでいくことにより、唾液分泌の促進を図ります。
・耳下腺のマッサージ(目安:10 回)人差し指から小指までの4本を頬にあてて、上の奥歯あたりを後ろから前に向かってまわします。
・顎下腺のマッサージ(目安:各5回)親指をあごの骨の内側のやわらかい部分にあて、耳の下からあごの下まで5ヶ所くらいを順番に押します。
・舌下腺のマッサージ(目安:10 回)両手の親指の腹で、あごの真下から舌を突き上げるようにゆっくり押します。
「お口スムーズ」プログラム
構音機能の減退が認められる高齢者が、「発声訓練」を反復して実施することにより、音節交互反復運動の著明な改善が認められたことや、
「話がしやすくなった」「声が出るようになった」などの意見が多く聞かれたという報告がされています。
・息の吐き出し(発声の呼吸訓練) 【目安:3回ずつ】
・鼻から空気を吸い込みます。
・口を尖らせるようにして、口から素早く強く、息を「フッ」と吐きます。
・構音の練習 【目安:3回ずつ】
・「パ・パ・パ・パ・パ」「タ・タ・タ・タ・タ」「カ・カ・カ・カ・カ」「ラ・ラ・ラ・ラ・ラ」
・「パ・タ・カ・ラ」「パ・タ・カ・ラ」「パ・タ・カ・ラ」「パ・タ・カ・ラ」「パ・タ・カ・ラ」
パ:上下の口唇がしっかり閉鎖することで発音する。
タ:舌先で上前歯裏側の歯茎をしっかり閉鎖して発音する。
カ:舌の奥に力を入れて、軟口蓋が持ち上がることで発音する。
ラ:舌の先を反らせて、上顎に舌の先を当てて発音する。

結果

《現在では》
これらの取り組みにより、利用者様が協力的に参加してくれたことで食事量が回復したり完食する方が増え、家族様とのコミュニケーションが増えた事でニーズが分かりやすくなりました。
口腔ケアや口腔体操をの事例や学びを通じて、食事と口腔機能の関連性、認知機能と口腔機能の関連性に触れる機会のもなりました。

まとめ

《今後に向けて》
実施により新たな問題点もみえてきました。
・時間が十分に取れなかったため、検証する内容が不十分となった。
・また他職種連携に繋がるところまで情報収集も出来なかった。
これらの新たな問題点にも取り組みながら今後も継続して食事と口腔機能や食事と認知症について学んでいきたいと思います。