CHIAKIほおずき
2017年度テーマ「よりよい食事環境」

⑦「2017年度優秀賞」

発表テーマ

「楽しくいつまでもご自分で食べたい」

発表者:K・Y
CHIAKIほおずき姫路香寺
グループホーム

目的

対象者:F・T 様 89歳 要介護2 
《利用者様身体的特徴と課題》
視覚面:網膜色素変性症により両視野が20度ほどしか見えない。そのため食事時間が長くかかってしまう。
空の食器にもすくおうとされることあり。
口腔面:歯が抜けることがあった。義歯が合っていないのか痛みを言われることがある。
食べる際に時折義歯を外されてしまう。
身体面:左肩が脱臼したこともあり、あがりにくい。また、右に傾きが見られる。
食器を持たず箸だけで食べられることがあるため、食べこぼしが多くある。
心理面:ご自分で食べる意欲はあるが美味しそうに食べている表情があまり見られない。
姿勢の維持が食事途中から難しく、表情が険しい。
視覚・口腔・身体・心理の4つ視点からアプローチし、
F様にとって食事が楽しみの時間になるように改善していきたいと思います。

方法

《F様への取り組み》
F様の食事ノートを作り、日々どのように食事をされているのか、
また気になった点などを記載し、職員全員でF様の情報を共有していきます。
《実施内容》
◇視野・視覚に関しての取り組み◇
・広告を読んだり目を使っての体操
・食器はシンプルに見えやすいものに
・眼科受診は家族様対応で点眼等は継続
◇口腔内に関しての取り組み◇
・毎日11時に口腔体操
・訪問歯科を導入し義歯の調整
◇リハビリ・食事に関しての運動の取り組み◇
・握力強化(テニスボールを握り握力強化の訓練)
・姿勢保持のための足腰の運動
・鍼灸・マッサージを導入し左肩のマッサージ・補助運動にて可動域アップ
◇食事が楽しみに思って頂ける取り組み◇
・エプロンの選択
・誕生日会で好きな甘いものを手作り

結果

F様の現在は…
視覚面:食器を変更し、フォークスプーンの補助具で箸より食べやすく、食べこぼしが減った。食器を見やすい位置に変更するよう声掛けるとスムーズになった。
口腔面:義歯の調整をして、途中義歯を外されなくなった。せき込み・むせも見られない。
身体面:リハビリの継続で、握力がアップし食器を持て、維持できるようになった。
職員の声掛け・意識も高まり姿勢を気にするようになった。(F様・職員ともに)
心理面:スムーズに食べられるようになり、少しの間では姿勢もあまり崩れず、表情は険しくなくなった。
《F様の変化》
◇良かった点◇
・食べこぼしが減った。
・握力が上がり食器を持って食べれるようになった。
・姿勢が維持でき、表情も笑顔で食べるようになった。
・空の食器をすくうことがなくなった。
◇悪かった点◇
・リハビリは疲れて、あまり楽しんでおられなかった。
・補助具を使ったので、箸に切り替えたときしっかりと持てないようになっていた。
《職員の変化》
◇良かった点◇
・4つの視点を意識することができ、他の利用者様にも対応できるようになった。
・握力の重要性を専門機関の方から教わった。
・姿勢を全利用者様にも見るようになった。
◇悪かった点◇
・食事の味や色どりの視覚を考えていなかった。
・嗅覚の視点も入れるべきだった。

まとめ

4つの視点から食事環境を考えた結果、目標の自ら食べるということが継続・維持・改善できた。食べこぼしや姿勢保持・腕の上がり等で食べることがしんどそうに見えていたが、取り組みによって表情・心理的に変わってきたように感じました。
《今後に向けて》
4つの視点を常に持ち、食事を楽しむ環境を身体面だけでなく、心理面からももう少しアプローチできるよう多方面から考えていきたいと思います。
今回は、身体面の部分からのアプローチがメインになってしまったが、食事自体の工夫(彩・味・硬さ等)も今後考えていき、
利用者様が楽しい食事時間を過ごせるように職員一同で取り組んでいきたいと思います。