CHIAKIほおずき
2017年度テーマ「よりよい食事環境」
①
「満たされた時間を分かち合う」
発表者:F・MCHIAKIほおずき福崎
グループホーム
目的
対象者 M.K様 84歳 要介護3 日常生活自立度 Ⅱb
既往歴:座骨神経痛、骨粗鬆症、腰椎圧迫骨折、アルツハイマー型認知症
【入居経緯】4年前に持病の腰痛が悪化し寝込んでしまい物忘れが進行。
腰痛が回復したのを機会にデイサービスを利用開始。在宅生活を継続していたが、
身体機能の低下、独居生活は限界と感じることが多くなり、グループホームの入居となる。
食事環境において食べることは単なる生命維持だけでなく、生活における楽しみであることを理解し、
自施設の課題抽出を行い、そのために何が必要なのか明確にする。
その上で、その人らしさが活かされた食事を目指す。
食事に関する自施設の課題抽出・現状把握
①環境面の見直し
→落ち着ける空間作り
・ご自身で摘んだ花、生けた花を眺めながらの食事
②参加状況
→配膳、調理など活動・参加の場について
・食べることは、単なる生命維持活動ではない
食事の献立記入、もやしの根取り、食事配膳、下膳
③活動状況
→福崎町で啓発している内容を実践
・活動量不足について
ふくろう体操、食育など
→役割を持ち、適切な活動量を把握、実施
洗濯物たたみ、近隣に買い物、近所に散歩、外出など
④健康状態
→食事量の把握、体重管理などと健康状態の把握
・体重の管理、医療との連携
定期健診、看護師との連携など
⑤心身機能等の確認
→情報共有、支援方向性を確認し心身機能状態を把握
・個々の心身機能等の確認
フロア会議、カンファレンス、アセスメントシートにて各職員共有
⑥食事アンケート
→全利用者様対象にアンケート実施
・1人1人の嗜好、食歴等調査を含め整理
以上から、課題・改善点について個別に視点が必要
方法
介護計画書の見直し
・充実した生活を送りたい。
・清潔に過ごしたい。
・健康に過ごしたい。
この3点を解決すべき課題と設定と計画書を策定。
今回、C-1-2シートの活用により本人意向、想いを反映させ変更策定。
⇓
①家事活動を皆と一緒に取り組み、食事をしたい。
②安心して心地よく楽しい生活を送りたい。
③健康(腰痛、便秘症等)に注意して過ごしたい。
この3点に変更を行い、その人らしい笑みがこぼれる家庭を目指し、
その人を理解、共感することで利用者主体の生活を支援する。
取り組み(環境面)
・少人数の座席を用意、好みの空間について外の風景、庭の花を眺めながら食事
・静かな環境作り
→職員同士の声量確認。調理器具の片付けの音
職員自身も環境の一部として行動
・食器の配置、色の工夫
ランチョマットの使用、椅子ととテーブルの高さ調整
本人様の目線、視界に入り易いように配置
取り組み(健康面)
・元気に過ごしたい(疼痛、便通管理等)
歩行状態の確認、体調確認の声掛け(便通等)、コミュニケーションなど
心体の痛みと捉え両側面から向き合う
取り組み(活動)
・献立説明をしたい
体操後に職員が説明、本人様、自ら説明
・食事メニュー書きをしたい
細い字で、蛍光色で見え難い→太い字で、蛍光色以外の文字
・座位姿勢で行える家事活動したい
お茶の葉詰め、サラダの取り分け、おやつ作り
自分からしてみたいと家事活動に参加
・皆で喫茶、談話等をしたい
全員の顔、コーヒーの香り等を楽しめるよう環境配慮、自分で選択して調理方法など伝授、
調理に参加して皆で食事
・外食に行きたい
行きたい想いに寄り添い皆で行くことに意味がある
取り組み(参加)
・朝食メニューを選択したい
食事アンケート結果より選択メニューを提供。入居前の朝食は「ごはん」の方が6割
取り組み(評価)
・C-1-2シート再実施
内面では、前回介護者に対して申し訳ないという言葉があったが、
現状では、一緒に色々なことがしたいという前向きな気持ちに変わっている。
共同生活を送る中で、皆で楽しい時間を共有したいという想いから行動に繋がった。
身体面では、体を動かす機会が楽しみになり、血流が良くなり痛み軽減、便通が良好という変化が見られた。
今の身体状態を維持したいという想いが見られる。
→食事を通しての想いを支援することで内面、身体面に変化が見られた
結果
■内面変化として「○○○をやってみたい」「皆でしてみたい」と自分の想い
を表出して下さるようになった。私達の視点で支援の方向性を決めるのでは
無く、本人様を中心に捉え取り巻く環境の一部として本人様から湧き出る想
いを知り行動に移せるように支援することが重要であった。
■エンパワーメントの理解をチームで共有した上で、関わりを持つことで身体
面にも自ら行動という形で表れた。チームで行動することで、偏った視点、
本人様の望まれる生活に近づいているのか支援内容を検討できた。
単に必要な栄養分を摂取することが重要では無く、食事を行う為に必要な活
動、参加することが幸福な食事に繋がった。
■健康を維持する為には生きるために必要な栄養分を摂取、生命を存続す
ることであり栄養不足や、カロリー不足を防止し、病気を予防すること
が大切。健康を維持する為に、望まれる生活を理解しチーム内での価値
観を合わせ望まれる生活を知り、本人様に携わり共に歩んで行くことが
重要。
■楽しく、おいしく食事をすることで生活が豊かになる。そして、人と人
のコミュニケーションの機会としても食事は重要であり、食事をするこ
とが、よりよい充実した幸福な生活を実現することになる。単に食事を
するだけでない事を念頭に置き寄り添って行くことが内面から豊かにな
り身体面と良い循環が見られる。
まとめ
■食事を「食べる事」として捉えるのでは無く、自施設の現状、課題等を知ること
で、一日一日の捉え方に変化が見られた。その上で、介護者視点になっていない
か整理を行い、対象者の想いを知り、望まれる暮らしを再確認、行動に繋がった。
■今回は、一人の方を中心に個別で捉え、受け止め、行動になったが他の利用者様
も同様に支援することが求められる。その為には、職員間の価値観を合わせ根拠
ある統一したケアが必要であり、チームの一人ひとりの役割を明確にして「その
人らしい笑みがこぼれる暮らし」を目指すことが重要。その人を理解し共感する
ことで、利用者主体の生活ができると教えて頂けた。
・「よりよい食事環境」を考え、受け止め、どう捉えて行くのか整理して進めて行えた。
グループホームの現状把握、自施設の課題分析を行った上で、本人様が望まれる食事環境を
求めることに近づけたと思います。
・本人様が望まれる暮らしの中に私達がどれだけ寄り添っているのか振り返ることができた。
・大切なことは、ご自身から~したいという想いが湧き出る(エンパワーメント)こと、
望まれる生活を知り、チームで行動に移せるかどうかが鍵だと学べた。
・今回は、一人の方を対象に「よりよい食事環境」を追求して行きましたが、
グループホームは共同生活の場であり、皆で満たされた時間を分かち合えることを
目指して行くことが『笑みがこぼれる家庭』に近づけると思う。
今後も利用者様を中心とした支援が出来ているか振り返り、寄り添い分かち合える支援を進めて行きます。