①
対象者 M・K様 要介護1 86歳 女性
・県営住宅に一人暮らし 長女様が訪問し支援している
・長男夫婦らも協力されている
・平成27年8月中旬より利用開始
・平成28年10月より要支援2から要介護1に更新
・それに伴い週2回の利用から週4回の利用に変更
今の暮らしを続けたいとの希望あり、ご家族もそれに同意し、
一人でできることを続けてもらいたいとのこと
<<本人様のADL・周辺状況>>
平成26年5月 ペースメーカー装着
平成27年1月 腰椎圧迫骨折
平成28年9月 アルツハイマー型認知症の診断(ペースメーカー使用の為、MRI実施できず)
歩行、排泄、食事と自立されているが、洗濯や掃除、買い物などで
難しいこともでてきている。
食品管理で傷んだものを食べてしまい、腹痛になることもみられた。
季節に合わせた服の選択が難しいときあり。
(ご家族様より)
お風呂は入っていると言うが、洗髪・洗身はできていないように見える。
お風呂のことはなかなか支援できないので、
できれば週一回からデイサービスで入浴してもらえたらと思う。
でも自宅での入浴の仕方も忘れてほしくないので、
デイサービスでの入浴ばかりに偏らないようにしたい。
清潔ケアの目的とは?
①身だしなみや身体をきれいにする意欲を引き出すこと
②清潔ケアを通して自分でできることを増やすこと
③身体に病変や異常がないかを確認する機会にすること
「一人での暮らしを続けたい」本人の気持ち
それを支援していきたいご家族の気持ちがあるが、
お風呂等の清潔面に関しては難しい部分があるということ。
利用回数も増え、こちらでの支援の経過も分かりやすくなること。
話し合いの中で以上の点を踏まえて、家族が支援しにくいお風呂等の
清潔面をDSで支援できることで、ご家族も安心し、お一人での暮らしも
続けられることに繋がるのではないかと考えました。
②『2016年度最優秀賞』
対象者 Y様 80歳 要介護5
・夫と二人暮らし
・週3でDS、2週間に1回のショートステイ、訪問看護の利用
・H22年に進行性核上性麻痺の診断
・H28年には、大脳皮質基底核変性症の疑いも診断される
・現在、左上下肢不全麻痺、左手指拘縮が強い。
支えがあれば座位保持可、介助による立位保持1分程度可。
会話はできるが言葉は出にくい。言葉の理解はできる。
<<現状の入浴におけるサービス>>
(現在の計画書)
長期目標:自身で洗身行為ができ、清潔が保てる。
短期目標:できるところは自分で洗う。
(支援内容)
→行える部分の範囲で動く右手でフェイスタオルを持ち、胸のあたりと頸部、
大腿部を洗う。
→不十分なところも含め、残りの部分を介助にて洗身する。
(支援状況)
→フェイスタオルを手渡し、声掛けにて手の届くところを撫でるように洗う。
不十分なところは、介助を行う。
~既存プランの現状評価~
・今ある能力を使った支援を行っているが、残存能力を使うだけでなく、
その機能維持や自分でしてもらうことの意味を理解して支援できていたのか。
・生活のスタイルや入浴状況、思いの汲み取り部分が不十分であったのではないか。
・本人様の思い、残存能力の再確認
・在宅の浴室、支援環境の確認が必要。
現状から今後に向けて、ケアマネ、訪看、娘様に報告し、今ある
機能の拡大、洗髪洗身部分について、現場スタッフを含め情報を
共有しました。
~本人の思い~
・少しくらいであれば、手も足も動くので、身体を洗うこともできる。
・病気でだんだん身体も動かなくなるのが辛い。でも、出来るのであれば、自分で洗いたい。
・夫はせっかちで、すぐに怒るので、ほとんど話をしない。
(ケアプラン入浴支援の見直しと再共有)
・在宅入浴における環境と支援の状況の確認を行う。
・自己遂行の意欲が活かせる支援内容の検討を行う。
~環境確認~
・自宅内移動は車いす。
・自宅内段差部には、スロープがそれぞれ設置している。
・浴槽には、手すり等取り付けている。
(以前は、バスボードを使用して入浴できていた)
・入浴動作に関しては夫が全面に介助していた。
<<自宅訪問>>
・ゆっくりと自分のことも出来ていたが、病気の進行により、
ほとんどの動作ができなくなってきた。
・自分の身体の負担と病気が重なり、全介助での入浴が難しい
(以前は、福祉用具も利用していたが・・・)。
・じっと、妻の行動を待つことはできない。
・話しかけても、めったに返事をしてくれない。
~夫の思い~
自宅訪問による課題分析・評価
・移乗、移動動作は全て全介助。
・左半身の拘縮が強くなり、姿勢保持能力も低下してきている為、
介助が大変になってきた。
・ほとんど話をしなくなった(言葉が出にくい、すぐに反応がないので待てない、夫は難聴)。
・本人様の身体機能の悪化と夫の加齢と持病が重なり、自宅での入浴介助は負担となっている。
→夫の妻に対する能力の認識部分やコミュニケーション不足の他、
本人様を取り巻く環境面(夫の介護力含め)から、本人様の意向に沿った自宅での入浴は困難な状況。
③
対象者①Y様 女性 107歳
・歩行はシルバーカー使用
・円背で前傾で動かれる
・糖尿病性神経障害の為、手指の感覚麻痺がある
・膝の痛みの為、足が上がりにくい
・「出来ることは自分でしたい」と言われる
〔既往歴〕
高血圧症、糖尿病、腰椎変形側湾症
左変形性膝関節症、多発性脳梗塞、腎盂炎
白内障、胃潰瘍、肺炎、狭心症、心筋梗塞
これまでの入浴
アンケート調査より「足が滑って怖い」
浴槽に出入りする際、足が滑ることがある
→加齢に伴って足が上がりにくく、握力も低下
安全に、安心して入浴していただける方法を模索
対象者② H様 女性 85歳
• 認知症(アルツハイマー)、高血圧症、喘息
• トイレ頻回、歩行はシルバーカー、円背で前傾姿勢、デイへは週3回で、
リハビリに週1回通っている。入浴はデイのみ。
• 平成28年3月に自宅のフローリングで後方に転倒して入院、
腰背部痛が出現、レントゲン上胸腰椎多発圧迫骨折、港湾変形をみとめたが、
コルセット装着は現実的でないと判断された。
・3月中旬、当初疼痛や下肢筋力の低下が著明であったが、疼痛は軽減、
下肢筋力の向上が図れたため、退院の運びとなる。
入院中は入浴動作での恐怖心が強く入浴動作が行えなかったので、機械浴で入っていた。
自宅での入浴は困難な為、デイでの入浴を目的でご利用となる。
入浴に関して、
「家で入ってきた」「お風呂が好きではない」「段差が怖い」
と答えるなどネガティブな発言がある。
④
対象者N様 88歳 男性 要介護2 ADL一部介助
【既往歴】
アルツハイマー型認知症、高血圧症、リウマチ
【性格】
穏やか、人想い
<<日頃の生活状況>>
・日中、フロアでTVを観て過ごされている事が多い。
・ご家族様が面会に来られると、喜ばれ笑顔でお話しをされている。
・職員が挨拶をすると、いつも笑顔で「元気か?」
「いつもありがとうなぁ」と気遣いの言葉をかけて下さる。
・夜間、トイレに数回起きられるも、よく休まれている。
日頃、穏やかで人想いの優しいNさん
しかし 入浴の時となると…
「毎日、家で入ってるから入らへん」
「足濡らしたらアカンねん」
「お前が入っておけや」 と
大声を出し、入浴を拒否され暴れてしまう怖いNさんになってしまいます。
★今回の取り組みにあたり
・Nさんが入浴を拒否される事なく、気持ちよく入浴してもらうには、
どうしたら良いか?
・入浴拒否の際でも、清潔に過ごして頂くためには?
(足にひょう疽があるので、足の清潔保持を主に)
⑤
対象者 K様 女性 74歳 要介護2
<<状態>>
レビー小体型認知症(約2年半ほど前)
日常生活自立度 Ⅱb
入浴・着脱については一部介助が必要。
食事・排泄等他については、ほぼ自立。
<<状況>>
自宅で入浴を勧めても、「入った」との返事はあるが実際は入っていないことがある。
家族が手伝うことにも拒否がある。
◎ご本人様との会話や関わりから得られる情報として
「お風呂は毎日、夜に自分で入っている」
「髪の毛も、ちゃんと洗ってます」
「お家でやってるから、ここではいいよ」
「ほかの人にしてあげて」
「着替えの服は自分でする」
◎ご家族様から得られる情報(家族様の関わりの中)
「最近、お風呂入ってるのは見てない」
「(認知症の初期に)孫が一緒に入っていたこともあった」
「(自営業の為)仕事が終わるのが遅いから手伝えない」
「嫁や孫の言うことも聞かなくなってきた」
「あんまり言うと、怒って反論してくる」
◎ケアマネージャーから得られる情報
・買い物が好きで、よく百貨店に行っていた。
・真面目な性格で、書道教室やピアノ教室にも通われていた
・2年半程前から認知症状が出始める。短期記憶の記憶力低下が顕著になり、
その場の会話は出来るが、一つ前の会話は忘れてしまう。
・夜間帯に出かけた時に帰宅出来なくなり、警察に保護されることもあった。
⑥
対象者 M様 84歳 介護度3
家族様と同居(奥様・娘様ご家族)
【既往歴】胸腹部大動脈瘤・一過性脳虚血発作・前立腺肥大
頸椎症性脊椎症・右麻痺・後十字靭帯硬化症
・移動→車椅子使用
立位時に右下肢の膝折れがみられ不安定
・入浴→機械浴槽利用
・着脱→一部介助
・洗髪、洗身→一部介助
・精神状態→健常
・意思伝達、視力、聴力→健常
デイサービス利用:2回/1週
ご本人様
・身体を清潔にして気持ち良い生活を送りたい。
少しでも身体が良くなり、自分で出来る事はしていきたい。
ご家族様
・自分で出来る事は行い、楽しみが持てる生活を送ってほしい。
担当ケアマネージャー様・担当医師様
・頸椎症性脊椎症により入院されていたが、手術・リハビリ後に
退院されるも右上下肢の可動域制限もあり自宅での入浴が難しい。
移動は車椅子が主でデイサービス利用となる。
M様の入浴・身体の清潔保持状況
・デイサービスのみでの入浴(週2回)となっており、一般浴槽では
難しく機械浴槽にて入浴されています。
長期目標
・ご本人様の力で気持ちよく入浴できる
短期目標
・入浴、着脱においてご自身で出来る事が増える
⑦
対象 グループホーム、1階ご入居者様および個人
課題その1
(1)脱衣室の問題
朝に昨日及び夜勤帯に洗濯したものが干したままあり、物干し台や
洗濯カゴに乾いた洗濯物が脱衣室に積みあがっている状態
⇓
<<検討結果>>
・気持ちよく入浴できる環境ではない
・障害物が多く、入居者様も職員も危険
・車椅子が出入りしにくい
課題その2
(2)業務内容の変更
今までは入居者様の入浴は出勤者が全員揃う午後からを基本としていましたが、
午後からのレクリエーション等のイベントが重なると3日に1回を目安にした
入浴が度々滞ることがありました。
(3日に1度の入浴が出来ている入居者様はおられず、風邪症状で入浴を飛ばした方
もいらっしゃったが、最大5日、入浴できていない方もいらっしゃった。)
⇓
<<検討結果>>
・出勤者が増える10時を目安に午前中1名~2名の入浴を実践する。
・10時からの出勤者が行っていたバイタル測定・トイレ誘導・入浴準備を7時出勤の
者が行う。
課題その3
(3)神戸垂水の環境に沿った入浴マニュアル
・浴室内に敷く滑り止めマットの劣化がある。
・年々、浴槽へのまたぎが困難な利用者様も増え職員の介助が大変になる。
・湯船に入ったら長湯をされる入居者様がおり、時間と体調をみて声掛けして
上がって頂いているが、時間の感覚がなく、湯船から上がることに納得しな
いまま上がって頂いていることがある。
課題その4
<<検討結果>>
・ほおずきの入浴マニュアルは十分守った上で神戸垂水の環境に沿った
マニュアルを作成する。
⇓
①入浴剤の使用(2週間の1回程度。どの入居者様にも)
②入浴後に市販の保湿クリーム等を塗布
③浴室・脱衣室に音楽をかける。
④湯船から出る際、強制感がないように1分計などを使用する。
⑧
対象者 A様 89歳 要介護2 日常生活自立度Ⅲa
【既往歴】アルツハイマー型認知症
<<ご利用者様の選定理由>>
1.ご本人の入浴に対する拒否が強く、入浴が出来ていない日が多い
2.ケアプランに解決すべき課題として長年解決を図ってきたが、
満足のいく結果に繋がっていない現状
3.職員から「どうしたら入浴してもらえるのか分らない」といった、
入浴に対する不安の声が多く聞かれ、職員の入浴に対するモチベーション
が低下している
<<入所前後の生活について>>
○施設入居前
12年前に夫が他界以降、独居となり、デイサービスを利用される。
デイサービス利用時より既に入浴には強い拒否があり、清拭・足浴・
ドライシャンプーのみで清潔保持されていた
○施設入居後~現在
(入居後)6年前にほおずきへ入居。
入浴には依然拒否が強く、週に1~2階清拭・足浴・
ドライシャンプーが出来る。
(現在) 月に1~2度は浴槽へ浸かられるも拒否多く、洗髪は中々
行えず。
★目的「楽しく入浴して頂けるよう工夫し、入浴頻度の向上を図る」
⑨
対象のご利用者様紹介
氏名: K様
年齢: 60歳
区分: 障害支援区分4 療育手帳B 2種
既往歴: ダウン症、白内障、神経痛
移動: 杖歩行
生活環境: 兄と2人暮らし
<主たる障がいについて・・・>
K様の主たる障がいとしては、ダウン症があげられます。
※そもそもダウン症とは・・・
体細胞の21番染色体が1本多く存在し、計3本持つことによって発症する先天性の疾患群である。多くは様々な合併症を伴うことが多く、知的障がいや先天性心疾患、低身長、筋力の弱さ等があるが、全てが必ず合併するわけではない。
(参照:NPO法人アクセプションズ)
入浴アセスメントの実施
◇ 本人の希望
「お風呂は好き」
「楽しくお風呂に入りたい」
「ごはんの時間も気になる」
◇ 家族の希望
「拒否もあり、家で入ったとしても、どのように入っているか分からない。定期的にきっちり入ってくれたら…」
「強く拒む場合は無理強いはしなくてもいい…でも、出来れば入ってほしい」
入浴提供時における課題
○声掛け~脱衣場に至るまで
• 声掛けするも、スムーズに動かれない、歩こうとされない
• 何か気になる事があると、他の行動には移りにくい
• 声をかける職員によって反応が全然違っている
○脱衣場~浴室に至るまで
• 一つひとつの行動にこだわりが強く、他者が関わろうとすると強い拒否されることがある
• 一つひとつの動作がゆっくりで時間がかかっている
○浴室~入浴を終えるまで
• 転倒の危険ある為、声掛けするも自身のペースで動かれる
• 洗髪をさせてくれない
• 浴槽内で急に立ち上がろうとする
• イス浴でイスを倒す時に声掛けするも、不安が大きく怖がってしまう
⑩
対象者 O・T様 要介護2 86歳 男性
◇ 障害老人日常生活自立度J2
◇ 認知症高齢者自立度Ⅳ
◇ 既往歴 : 前立腺癌アルツハイマー型認知症
◇ 家族構成: 奥様と二人暮らし
◇ 平成28年9月よりデイサービス利用開始
平成28年6月頃までご自身で入浴されていたが、7月頃より「椅子に座るのが怖い」と自宅で入浴する事が難しくなる。以前は、お風呂が好きだったとお聞きする。
希望としては、デイサービスに慣れ入浴ができるようになり、清潔保持を行いたい想いがある。本人様から「不安やなぁ」と聞く。
入浴に対しての恐怖心もあり、洗顔も難しい状況(以前は、出来ていた水で顔を洗う)でタオルで拭いて清潔保持に努めている。
デイサービスに慣れて、身体の清潔保持から他者との交流も活発になり心と体も気持ち良く生活を送って欲しいとお聞きする。
<課題分析>
・ 自宅でも入浴が出来ていない状況が続いている。
・ 入浴椅子に座るのが怖い。
・ 水が怖く、洗顔もできにくい。
・ 身体面で移動に不安があり、入浴動作で背中等が洗うことが難しい。
・ 身体状況が把握できない。
・ 表情が乏しい事が多く、活気がなく他者との交流が少ない。(距離を置かれる)家族以外が居ないと不安な様子。
<目標設定>
・ 以前のように活き活きとした生活を取り戻したい。
・ 入浴動作において、不安、恐怖心を解消したい。
・ 入浴に楽しみが持て身体の清潔を保持したい。
・ 運動を行い以前と同じように動きたい。