⑪『2016年度優秀賞』
対象者A.K様 要介護度2 80歳 女性
[既往歴]
盲腸(30代)S状結腸(80歳)
認知症(日常生活自立度Ⅰ)
[サービス導入の経緯]
H28年10月にS状結腸癌にて手術。下行結腸にストーマ造設しストーマパウチの自己管理・交換練習の目的でデイサービスを利用する事となる。
⑫『2016年度がんばったで賞』
特に入浴拒否が強い方を対象として対応する。
対象者① K.K様 要介護2 79歳 女性
既往歴:脳梗塞(麻痺なし)・アルツハイマー型認知症・左肩腱板損傷
性 格:
人の好き嫌いがはっきりしている。介護拒否が多い。
新しい場所・人に馴染むのに時間がかかる。
認知症により自分の伝えたいことが伝えきれずイライラしている。
(相手を威圧することで落ち着きを取り戻しているように見える。)
<入居時の家族の思い・家族からの情報>
・サービス付き高齢者向け住宅では、入浴できなかったので、できるだけ入浴して、清潔にしてほしい。
・今までは、他者との関わりで混乱していたため、CHIAKIほおずき加古川では穏やかに過ごして欲しい。
・そばにいてあげることが出来ない分、少しでも穏やかにしてほしい。
<目標>
・職員との信頼関係をしっかりとつくる。
・入浴ができなくても「更衣・足浴」をして清潔保持をする。
・誰の声かけでも拒否なく入浴できる。
対象者② S.A様 要介護1 90歳 女性
既往歴:逆流性食道炎(現在自覚症状なし)・アルツハイマー型認知症
性 格:
人当たりはよく話をして頂けるが、こだわりが強い。
認知症の進行に伴い、収集癖が出てきている状況。
金銭的な事が、心配。
<入居時の家族の思い・家族からの情報>
・自宅で過ごしており、介護サービスなど何も利用していない。
・入浴なども全くできておらず、自宅内も物で溢れている。
・洋服なども特定の物しか着用しておらず、破損状況が酷い。
・靴下や靴が汚れるのがいやだと言われ、足カバーとしてビニール袋を使用して足に直接巻き付けて生活していた。
<目標>
・職員との信頼関係をしっかりとつくる。
・入浴前にバイタル測定を行い、当日の体調を把握する。
・入浴ができなくても「更衣・足浴」をして清潔保持をする。
・誰の声かけでも拒否なく入浴できる。
⑬
K様 94歳 男性 要介護2
病歴:高血圧、心筋梗塞、狭心症、変形性脊椎症、認知症
<入居時のご様子>
・足が上がりにくく、歩行も不安定な状態。
・自分から思いを伝えることもなく、表情も暗い。
<入居時の家族様の思い>
・「今、老健でお世話になっていますが、何をするにも表情がなく、一人でポツンとしています。以前DSを利用していた時は社交的で明るく自分で何でもしていたのに。どうしたら以前のようなお父さんに戻るのでしょうか。」
・「ここは、顔馴染みの利用者様や職員さんがいるので、笑い声が聞けるのでは?」
・「GHを見学した時に個浴と大きいお風呂があったので、お風呂好きのお父さんが喜ぶのではと思った。」
K様について会議を行う
K様が望む入浴の仕方を考え、アンケートを参考に意見を出し合った。
話し合いで見えてきた課題
・歩行が不安定で足が上がりにくい。
・職員の見守りのもと、以前のような洗身・洗髪が自分で出来るようになってほしい。
・既往症に対して気を付けることを知り共有したい。
K様入浴アンケート
・入浴に関して不安に思ってる事
・入浴の工夫
・安全な入浴の方法etc…
<目標決定>
自分のペースでお風呂に入りたい。
⑭
対象者 K様 90歳 要介護5 女性
身体面
・寝たきり
・胃ろう
・皮下出血しやすい
・表皮剥離しやすい
・関節に拘縮がある
・右腕肘関節より胸前にて拘縮
・左腕伸びきった状態にて手首外向きに拘縮
※以前には
・右大腿骨頚部骨折
・左大腿骨頚部骨折
・右上腕骨折
屈曲拘縮・・・関節が曲がった状態で伸びなくなる。
伸展拘縮・・・伸びた状態で曲がらなくなる。
日中の過ごし方
来所後フロアにてバイタル測定
皆様と一緒にフロアにて過ごす
状態観察とケア・処置を必要時おこない⇒入浴
入浴後はベッドにて過ごす
胃ろうよりラコール400ml投与後、白湯50ml投与
バイタル測定
胃ろうより白湯50ml(15時)投与
口腔ケア
バイタル測定
パット交換・陰部洗浄
皮下出血
皮膚は大きく分けて3層構造になっており、
一番上の層から「表皮」⇒「真皮」⇒「皮下組織」
となっています。
この皮下組織部分に出血した事をいいます
出血し血腫(血のかたまり)ができること
表皮剥離しやすい状況にある
「K様が起こりうる状況」
・移乗時、車椅子の肘掛にぶつけてしまった為に起こりうる
・移乗時、抱える職員が力を入れ握ってしまった為に起こりうる
表皮剥離
高齢になると皮膚の細胞が減少
→代謝機能の低下
→肌の皮膚が薄くなる
→免疫細胞も衰える
→表皮剥離しやすくなる
「特に皮下出血、乾燥している部位に起こりやすい」
※介護職員の注意点
爪は伸びていないか
移乗時ぶつかる物はないか
拘縮部位・皮下出血部位の把握はできているか
「K様が起こりうる状況」
・入浴の際に衣服やストレッチャー等に擦りすぎてしまった為に起こりうる。
・着替える際、衣服が強く擦れた為に起こりうる。
・清拭の際、タオルが強く擦れた為に起こりうる。
・移乗時、車椅子にぶつかった為に起こりうる。
・移乗時、抱える職員が力をいれ握ってしまった為に起こりうる。
拘縮
関節周囲組織が障害されて、関節が固定し
他動的に動かす事が出来なくなった状態。
怪我、病気(廃用症候群)による寝たきりにより
長期的に身体を動かさない状況が続いた
※注意:可動域を見極める必要あり
⑮
対象者 H・T様 80歳 介護度3 男性
3つの視点を複合的に考え、3方向から利用者様の清潔保持を考え、より気持ちよく・安全に、尚且つ心身面を職員が理解しながら取り組んでいく事を目標とする。
<高齢者の清潔保持の基本姿勢>
① 皮膚の清潔を保持することは、皮膚の新陳代謝を高め、感染を防止する。
➁ 清潔ケアを行う場合には、利用者様の清潔習慣を尊重し、利用者様の同意を得てからケアを行う。
③ 手早く清潔ケアを行い、寒さを感じさせない。
④ 清潔行為を通してリハビリも兼ねる。
⑤ 利用者様のコミュニケーションの場でもある。
⑯
CHIAKIほおずき神戸玉津の施設で入浴についての問題、課題を職員で
検討しました。入浴方法、ケアを今一度見直す事になりました。
■問題■
「入浴はみなさん喜んで入ってくださっている」「お風呂は好きと言われる方ばかり」
と肯定的な意見が多くを占めましたが、ふと
「各入居者様に出来る事をして頂かず、職員主導で効率重視の入浴介助を行っている可能性」
という、思いや意見が職員から上がってきました。
■課題■
現在の各入居者様が何が出来るのか?何を思っているのか?を職員全員で情報収集し、
課題を検討しました。
今回の事例では、一人の入居者様に焦点を合わせるのではなく、GH入居者全員の課題にし、
職員全員の意識も高める事が出来る事にも繋がる為に行いました。
<ほおずき神戸玉津の現状>
入居者様の半数以上の方が開設時よりご入居下さっており、年を重ねられ、
徐々に重度化しております。
<情報の整理>
●A様
他の職員は認知症の進行もあり、身体は職員が洗っていましたが、ある職員の情報収集からすると、
「タオルを渡し、声かけし、身体を洗って頂く伝えると、本人様の出来る範囲で洗って頂けます。」
とあり。
●B様
全介助が必要な方で、身体を動かす事が難しいと思った。職員がほとんどですが、ある職員の
情報収集からすると、
「何度か声かけをすると、腹部を洗って頂けます。」とあり。
etc…
違う職員の視点、気付きは勉強になり、入居者様の自立支援にも繋がります。
<入居者様自身が行える事の情報共有>
・洗髪が出来ないと思っていた入居者様を職員で介助していたが、他の先輩職員からの
情報とアドバイスで、入居者様が出来る事を再認識する。
・認知症が進行し、物事を混乱する方には、声かけと手すりへの指差しで対応し
安全に浴槽に入って頂ける事が可能である。
etc…
<入居者様のお風呂への想い>
高齢者の方は身体を洗って、浴槽につかりゆっくり浸かる事が楽しみであり、
リラックスし、温もる事が大事だと思っています。
現代人は浴槽に入らない事が多くなり、シャワー浴で済ます事が多くなっています。
⑰
【入浴の意義や大切さについて】
①身体を清潔にすることと
②リラックスすること
対象者①H・U様 98歳
≪主な病歴≫
・陳旧性心筋梗塞
・心筋梗塞
・不眠症
・高血圧
・腹部大動脈瘤
対象者②O・Y様 95歳
≪主な病歴≫
・多発性脳梗塞
・高血圧
・胸椎圧迫骨折
・アルツハイマー型認知症
・左大腿骨骨折
対象者③T・K様 87歳
≪主な病歴≫
・脳梗塞
・脳血栓
・右大腿骨骨折
■問題点■
<T・K様>
入浴する事は理解できるものの衣類の着脱や座位姿勢の保持を負担に感じ、拒否傾向にある。
<O・Y様>
理解力低下により入浴する事を理解できない事が多くなっている。
<H・U様>
入浴する事は理解できるものの、寒さや羞恥心から衣類を脱ぐ事を拒否する事が多い。