対象者 A様 要介護3
対象にさせて頂いたA様は、要介護3で認知症日常生活自立度Ⅲaです。
ご主人と共に自営業をなされ、会社の経理もされていたそうです。
手先が器用で趣味では手芸や工作なども楽しまれていたそうです。
社交性に富み、交友関係も広く、誰からも慕われていたそうです。
去年の夏頃からA様のご様子に次第に変化が見られるようになってきました。
あれだけ社交性があったA様ですが、他の方々と会話もあまりされなくなってきました。
デイに来られてもテーブルに突っ伏してふさぎ込むことが多くなってきました。
以前は楽しまれていたゲームや工作などのレクも「こんなもん馬鹿らしい」とされなくなってしまいました。
A様の笑顔はどんどん少なくなってきました。
外出行事での集合写真などでもA様お一人だけ笑顔が見られないなど、日々のデイご利用時の写真でも明らかになってきました。
また、「財布を盗まれた」など、物盗られ妄想が多くなってきたのも特にこの頃です。
お食事に関しても「私のだけ嫌がらせで固いのがいれてある」などと被害妄想も大きくなってきました。
「泥棒だらけのところにはおられん」などと言われるようになり、帰宅願望も見られるようになりました。
また、「息子は死んでしもうたから私一人や」、「娘が私を悪いようにしとるんや」などと、ご家族に対しての妄想なども口にされるようになりました。
私たち職員もA様の変化に戸惑い、どう接していけばよいのか悩み、ご様子をケアマネや家族様にお伝えし相談していました。
そんな中、A様がポツリと漏らした言葉…「最近頭がおかしいんや…」
A様自身も自分の変化に戸惑われておられたのです。
私たちは何が原因であるか考えました。
認知症状が進んできており、それに伴う
短期記憶障害
物盗られ妄想
被害妄想
また、その頃、家族との同居の再開など複雑な生活環境の変化がありました。
というのは以前は息子様夫婦と同居されていたのですが、事情で奥様が離れ、息子様二人と同居されていました。
ところが春頃から息子様の奥様が同居を再会し、A様の生活も大きく変化がおきることになりました。
「笑顔がいっぱいだったA様に戻っていただきたい」
A様の認知症状の進行と家族環境の変化が、心身供に大きく影響していると考えました。
デイサービスを利用されながら在宅生活をするA様に私たちが関われる時間は限られていますが、
A様が抱える様々な不安を軽減しながら、家族様に感謝の気持ちをご自身で伝えることができれば、
A様の笑顔も戻ってくるかもしれないと思いました。
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「A様が得意としていた手芸で何か作品を作って家族様にお渡ししてみてはどうか?」
外部審査員の声をご紹介します。
「外部審査員より」
石川 立美子氏 いしかわ たみこ介護共育研究会代表
「おとな(介護職)の研修」について研究。デンマーク、カナダ、アメリカなどを訪問し、福祉先進国の現場を体験。現在は、豊富な経験と知識をもとに、コンサルタント業務・研修講師・地域づくりアドバイザー・雑誌連載など多分野で活動。
本人の目線(アイ)・思いやり(愛)・主体的な私(I)を大切にした、石川立美子の目のつけどころ(アセスメント)から、暮らしを豊かにし、互いに尊重し合う行動、モノ、考え方”たみ~ずあい”を展開中。
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