④
対象者N様 88歳 男性 要介護2 ADL一部介助
【既往歴】
アルツハイマー型認知症、高血圧症、リウマチ
【性格】
穏やか、人想い
<<日頃の生活状況>>
・日中、フロアでTVを観て過ごされている事が多い。
・ご家族様が面会に来られると、喜ばれ笑顔でお話しをされている。
・職員が挨拶をすると、いつも笑顔で「元気か?」
「いつもありがとうなぁ」と気遣いの言葉をかけて下さる。
・夜間、トイレに数回起きられるも、よく休まれている。
日頃、穏やかで人想いの優しいNさん
しかし 入浴の時となると…
「毎日、家で入ってるから入らへん」
「足濡らしたらアカンねん」
「お前が入っておけや」 と
大声を出し、入浴を拒否され暴れてしまう怖いNさんになってしまいます。
★今回の取り組みにあたり
・Nさんが入浴を拒否される事なく、気持ちよく入浴してもらうには、
どうしたら良いか?
・入浴拒否の際でも、清潔に過ごして頂くためには?
(足にひょう疽があるので、足の清潔保持を主に)
⑤
対象者 K様 女性 74歳 要介護2
<<状態>>
レビー小体型認知症(約2年半ほど前)
日常生活自立度 Ⅱb
入浴・着脱については一部介助が必要。
食事・排泄等他については、ほぼ自立。
<<状況>>
自宅で入浴を勧めても、「入った」との返事はあるが実際は入っていないことがある。
家族が手伝うことにも拒否がある。
◎ご本人様との会話や関わりから得られる情報として
「お風呂は毎日、夜に自分で入っている」
「髪の毛も、ちゃんと洗ってます」
「お家でやってるから、ここではいいよ」
「ほかの人にしてあげて」
「着替えの服は自分でする」
◎ご家族様から得られる情報(家族様の関わりの中)
「最近、お風呂入ってるのは見てない」
「(認知症の初期に)孫が一緒に入っていたこともあった」
「(自営業の為)仕事が終わるのが遅いから手伝えない」
「嫁や孫の言うことも聞かなくなってきた」
「あんまり言うと、怒って反論してくる」
◎ケアマネージャーから得られる情報
・買い物が好きで、よく百貨店に行っていた。
・真面目な性格で、書道教室やピアノ教室にも通われていた
・2年半程前から認知症状が出始める。短期記憶の記憶力低下が顕著になり、
その場の会話は出来るが、一つ前の会話は忘れてしまう。
・夜間帯に出かけた時に帰宅出来なくなり、警察に保護されることもあった。
⑥
対象者 M様 84歳 介護度3
家族様と同居(奥様・娘様ご家族)
【既往歴】胸腹部大動脈瘤・一過性脳虚血発作・前立腺肥大
頸椎症性脊椎症・右麻痺・後十字靭帯硬化症
・移動→車椅子使用
立位時に右下肢の膝折れがみられ不安定
・入浴→機械浴槽利用
・着脱→一部介助
・洗髪、洗身→一部介助
・精神状態→健常
・意思伝達、視力、聴力→健常
デイサービス利用:2回/1週
ご本人様
・身体を清潔にして気持ち良い生活を送りたい。
少しでも身体が良くなり、自分で出来る事はしていきたい。
ご家族様
・自分で出来る事は行い、楽しみが持てる生活を送ってほしい。
担当ケアマネージャー様・担当医師様
・頸椎症性脊椎症により入院されていたが、手術・リハビリ後に
退院されるも右上下肢の可動域制限もあり自宅での入浴が難しい。
移動は車椅子が主でデイサービス利用となる。
M様の入浴・身体の清潔保持状況
・デイサービスのみでの入浴(週2回)となっており、一般浴槽では
難しく機械浴槽にて入浴されています。
長期目標
・ご本人様の力で気持ちよく入浴できる
短期目標
・入浴、着脱においてご自身で出来る事が増える
⑦
対象 グループホーム、1階ご入居者様および個人
課題その1
(1)脱衣室の問題
朝に昨日及び夜勤帯に洗濯したものが干したままあり、物干し台や
洗濯カゴに乾いた洗濯物が脱衣室に積みあがっている状態
⇓
<<検討結果>>
・気持ちよく入浴できる環境ではない
・障害物が多く、入居者様も職員も危険
・車椅子が出入りしにくい
課題その2
(2)業務内容の変更
今までは入居者様の入浴は出勤者が全員揃う午後からを基本としていましたが、
午後からのレクリエーション等のイベントが重なると3日に1回を目安にした
入浴が度々滞ることがありました。
(3日に1度の入浴が出来ている入居者様はおられず、風邪症状で入浴を飛ばした方
もいらっしゃったが、最大5日、入浴できていない方もいらっしゃった。)
⇓
<<検討結果>>
・出勤者が増える10時を目安に午前中1名~2名の入浴を実践する。
・10時からの出勤者が行っていたバイタル測定・トイレ誘導・入浴準備を7時出勤の
者が行う。
課題その3
(3)神戸垂水の環境に沿った入浴マニュアル
・浴室内に敷く滑り止めマットの劣化がある。
・年々、浴槽へのまたぎが困難な利用者様も増え職員の介助が大変になる。
・湯船に入ったら長湯をされる入居者様がおり、時間と体調をみて声掛けして
上がって頂いているが、時間の感覚がなく、湯船から上がることに納得しな
いまま上がって頂いていることがある。
課題その4
<<検討結果>>
・ほおずきの入浴マニュアルは十分守った上で神戸垂水の環境に沿った
マニュアルを作成する。
⇓
①入浴剤の使用(2週間の1回程度。どの入居者様にも)
②入浴後に市販の保湿クリーム等を塗布
③浴室・脱衣室に音楽をかける。
④湯船から出る際、強制感がないように1分計などを使用する。
⑧
対象者 A様 89歳 要介護2 日常生活自立度Ⅲa
【既往歴】アルツハイマー型認知症
<<ご利用者様の選定理由>>
1.ご本人の入浴に対する拒否が強く、入浴が出来ていない日が多い
2.ケアプランに解決すべき課題として長年解決を図ってきたが、
満足のいく結果に繋がっていない現状
3.職員から「どうしたら入浴してもらえるのか分らない」といった、
入浴に対する不安の声が多く聞かれ、職員の入浴に対するモチベーション
が低下している
<<入所前後の生活について>>
○施設入居前
12年前に夫が他界以降、独居となり、デイサービスを利用される。
デイサービス利用時より既に入浴には強い拒否があり、清拭・足浴・
ドライシャンプーのみで清潔保持されていた
○施設入居後~現在
(入居後)6年前にほおずきへ入居。
入浴には依然拒否が強く、週に1~2階清拭・足浴・
ドライシャンプーが出来る。
(現在) 月に1~2度は浴槽へ浸かられるも拒否多く、洗髪は中々
行えず。
★目的「楽しく入浴して頂けるよう工夫し、入浴頻度の向上を図る」
⑨
対象のご利用者様紹介
氏名: K様
年齢: 60歳
区分: 障害支援区分4 療育手帳B 2種
既往歴: ダウン症、白内障、神経痛
移動: 杖歩行
生活環境: 兄と2人暮らし
<主たる障がいについて・・・>
K様の主たる障がいとしては、ダウン症があげられます。
※そもそもダウン症とは・・・
体細胞の21番染色体が1本多く存在し、計3本持つことによって発症する先天性の疾患群である。多くは様々な合併症を伴うことが多く、知的障がいや先天性心疾患、低身長、筋力の弱さ等があるが、全てが必ず合併するわけではない。
(参照:NPO法人アクセプションズ)
入浴アセスメントの実施
◇ 本人の希望
「お風呂は好き」
「楽しくお風呂に入りたい」
「ごはんの時間も気になる」
◇ 家族の希望
「拒否もあり、家で入ったとしても、どのように入っているか分からない。定期的にきっちり入ってくれたら…」
「強く拒む場合は無理強いはしなくてもいい…でも、出来れば入ってほしい」
入浴提供時における課題
○声掛け~脱衣場に至るまで
• 声掛けするも、スムーズに動かれない、歩こうとされない
• 何か気になる事があると、他の行動には移りにくい
• 声をかける職員によって反応が全然違っている
○脱衣場~浴室に至るまで
• 一つひとつの行動にこだわりが強く、他者が関わろうとすると強い拒否されることがある
• 一つひとつの動作がゆっくりで時間がかかっている
○浴室~入浴を終えるまで
• 転倒の危険ある為、声掛けするも自身のペースで動かれる
• 洗髪をさせてくれない
• 浴槽内で急に立ち上がろうとする
• イス浴でイスを倒す時に声掛けするも、不安が大きく怖がってしまう
⑩
対象者 O・T様 要介護2 86歳 男性
◇ 障害老人日常生活自立度J2
◇ 認知症高齢者自立度Ⅳ
◇ 既往歴 : 前立腺癌アルツハイマー型認知症
◇ 家族構成: 奥様と二人暮らし
◇ 平成28年9月よりデイサービス利用開始
平成28年6月頃までご自身で入浴されていたが、7月頃より「椅子に座るのが怖い」と自宅で入浴する事が難しくなる。以前は、お風呂が好きだったとお聞きする。
希望としては、デイサービスに慣れ入浴ができるようになり、清潔保持を行いたい想いがある。本人様から「不安やなぁ」と聞く。
入浴に対しての恐怖心もあり、洗顔も難しい状況(以前は、出来ていた水で顔を洗う)でタオルで拭いて清潔保持に努めている。
デイサービスに慣れて、身体の清潔保持から他者との交流も活発になり心と体も気持ち良く生活を送って欲しいとお聞きする。
<課題分析>
・ 自宅でも入浴が出来ていない状況が続いている。
・ 入浴椅子に座るのが怖い。
・ 水が怖く、洗顔もできにくい。
・ 身体面で移動に不安があり、入浴動作で背中等が洗うことが難しい。
・ 身体状況が把握できない。
・ 表情が乏しい事が多く、活気がなく他者との交流が少ない。(距離を置かれる)家族以外が居ないと不安な様子。
<目標設定>
・ 以前のように活き活きとした生活を取り戻したい。
・ 入浴動作において、不安、恐怖心を解消したい。
・ 入浴に楽しみが持て身体の清潔を保持したい。
・ 運動を行い以前と同じように動きたい。
⑪『2016年度優秀賞』
対象者A.K様 要介護度2 80歳 女性
[既往歴]
盲腸(30代)S状結腸(80歳)
認知症(日常生活自立度Ⅰ)
[サービス導入の経緯]
H28年10月にS状結腸癌にて手術。下行結腸にストーマ造設しストーマパウチの自己管理・交換練習の目的でデイサービスを利用する事となる。
⑫『2016年度がんばったで賞』
特に入浴拒否が強い方を対象として対応する。
対象者① K.K様 要介護2 79歳 女性
既往歴:脳梗塞(麻痺なし)・アルツハイマー型認知症・左肩腱板損傷
性 格:
人の好き嫌いがはっきりしている。介護拒否が多い。
新しい場所・人に馴染むのに時間がかかる。
認知症により自分の伝えたいことが伝えきれずイライラしている。
(相手を威圧することで落ち着きを取り戻しているように見える。)
<入居時の家族の思い・家族からの情報>
・サービス付き高齢者向け住宅では、入浴できなかったので、できるだけ入浴して、清潔にしてほしい。
・今までは、他者との関わりで混乱していたため、CHIAKIほおずき加古川では穏やかに過ごして欲しい。
・そばにいてあげることが出来ない分、少しでも穏やかにしてほしい。
<目標>
・職員との信頼関係をしっかりとつくる。
・入浴ができなくても「更衣・足浴」をして清潔保持をする。
・誰の声かけでも拒否なく入浴できる。
対象者② S.A様 要介護1 90歳 女性
既往歴:逆流性食道炎(現在自覚症状なし)・アルツハイマー型認知症
性 格:
人当たりはよく話をして頂けるが、こだわりが強い。
認知症の進行に伴い、収集癖が出てきている状況。
金銭的な事が、心配。
<入居時の家族の思い・家族からの情報>
・自宅で過ごしており、介護サービスなど何も利用していない。
・入浴なども全くできておらず、自宅内も物で溢れている。
・洋服なども特定の物しか着用しておらず、破損状況が酷い。
・靴下や靴が汚れるのがいやだと言われ、足カバーとしてビニール袋を使用して足に直接巻き付けて生活していた。
<目標>
・職員との信頼関係をしっかりとつくる。
・入浴前にバイタル測定を行い、当日の体調を把握する。
・入浴ができなくても「更衣・足浴」をして清潔保持をする。
・誰の声かけでも拒否なく入浴できる。
⑬
K様 94歳 男性 要介護2
病歴:高血圧、心筋梗塞、狭心症、変形性脊椎症、認知症
<入居時のご様子>
・足が上がりにくく、歩行も不安定な状態。
・自分から思いを伝えることもなく、表情も暗い。
<入居時の家族様の思い>
・「今、老健でお世話になっていますが、何をするにも表情がなく、一人でポツンとしています。以前DSを利用していた時は社交的で明るく自分で何でもしていたのに。どうしたら以前のようなお父さんに戻るのでしょうか。」
・「ここは、顔馴染みの利用者様や職員さんがいるので、笑い声が聞けるのでは?」
・「GHを見学した時に個浴と大きいお風呂があったので、お風呂好きのお父さんが喜ぶのではと思った。」
K様について会議を行う
K様が望む入浴の仕方を考え、アンケートを参考に意見を出し合った。
話し合いで見えてきた課題
・歩行が不安定で足が上がりにくい。
・職員の見守りのもと、以前のような洗身・洗髪が自分で出来るようになってほしい。
・既往症に対して気を付けることを知り共有したい。
K様入浴アンケート
・入浴に関して不安に思ってる事
・入浴の工夫
・安全な入浴の方法etc…
<目標決定>
自分のペースでお風呂に入りたい。
外部審査員の声をご紹介します。
「外部審査員より」
石川 立美子氏 いしかわ たみこ介護共育研究会代表
「おとな(介護職)の研修」について研究。デンマーク、カナダ、アメリカなどを訪問し、福祉先進国の現場を体験。現在は、豊富な経験と知識をもとに、コンサルタント業務・研修講師・地域づくりアドバイザー・雑誌連載など多分野で活動。
本人の目線(アイ)・思いやり(愛)・主体的な私(I)を大切にした、石川立美子の目のつけどころ(アセスメント)から、暮らしを豊かにし、互いに尊重し合う行動、モノ、考え方”たみ~ずあい”を展開中。
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