①
対象者 I様 要介護4
平成26年4月頃
周りの景色や他利用者が気になり食事に時間がかかる。
娘様から「家では口に入れた物を飲み込もうとせず、栄養が足りてない様な気がします。」
平成26年7月頃
エプロン・お皿・御箸の柄が気になり食べ物と間違えて食べようとされる。
娘様から「自宅では自分で食事しない事気になります。」と相談あり。
平成26年8月頃
みそ汁やお茶に食べ物を運び洗ってから食べようとされる。
現在
口を縦に明けづらく【あ】の口から【い】の口の開けかたになっている。
職員の共通理解
病気や障害を持ちながら、いかにより良く、 自分らしく生きるのか
⇓
個人のもつ価値観を尊重しつつ、その個人の条件の範囲内で可能な限り良好な状態と環境を作っていくことが大切 。
⇓
「口から食べられる」ことの 意義は大きい。
”I様に口から食事をしてもらいたい”
②
対象者 S様 要介護2
・極度の便秘症
・上下義歯の使用
・躁うつの症状
基本的には自立されており、見守りが中心
不穏状態で家族様への連絡を強く希望
・腹満感強く、食事を残される事多い
腹部の違和感から、体調が整わない…
安心した穏やかな生活が送れないのではないか?
⇓
美味しく食べて、整腸する
無理をせず、自分らしい生活を送る
③
対象者 K様 要介護5
K様の状態
・視覚→視野の狭窄有 聴覚→良
・アルツハイマー型認知症
・車椅子での生活
・右手、両足が動きにくい
・感情の波があり大声で叫ばれる事がある
・精神が不安定な時は意思疎通難しい
・食事は左手で手づかみで食べられる
・義歯は使用しておらず歯が1本
・意欲の見られる時は自力摂取される
・手が動きにくい時は『助けてー』と助けを求められる
・時間が掛かっても全量食べられる
・水分は介助で飲んで頂いている
・嚥下能力が少し低下しているため、咳き込まれる事がある
・食べている物が何か認識できない事がある
・目を閉じた状態で食事をされる
・飲み込みにくい肉などは刻んで提供
・精神の不安定な時は自ら手づかみされても食べられる事はない(皿から出す、物を潰す)
<家族様から頂いた情報>
・肉料理、酢豚、南瓜、餡子、餅、パンが好き
・特に味の濃い物が好きだった
・骨の多い魚は嫌いだった
・家族が多かったため賑やかに食べる事が多かった
<家族様の願い>
自分で大きいお好み焼きを食べているのを見て元気だなと思いました。
手で食べていたけれど、介助だとそれが本人にとって当たり前になってしまうので、
手が動く間は形ある物を自分の力で食べてもらいたい。
④
対象者 Y様 ADL 自立
性格:明るく朗らか、昼寝が大好き
既往歴:アルツハイマー型認知症、高血圧、脳内出血、糖尿病
入所してから運動量が少なくなる。入所時より10kg増加。
自宅でも日中ほとんど寝ている事が多かったそうだが、
入所からも、ウトウトされる事が増え、Drとも定期的に体重増加、
運動不足の改善、食事の見直しについて相談を行った。
目標:おいしく食べてメリハリのある生活を送る。
⑤ 『2014年度優秀賞』
対象者 O様 要介護4
★ご本人様:言葉での意思確認は難しいが、
声かけをするとこちらの思いは通じて表情は明るく答えてくださる。
歩行は手引きにて可能。
日常生活全般、全介助。
★家族様:残っている機能を生かしてほしい。
排便が一週間ないことがあり、心配。
Oさんに、美味しく、楽しく食べていただくことで身体機能の向上を目指す。
食事摂取行動の中でOさんができることを明らかにし、それを引き出していく。
⑥
対象者 Y様 要支援1
(情報) 平成25年8月にご主人が亡くなりその後独居生活。
娘様が他市に在住ですが、週末にしか様子を見に来ていません。
昨年夏ごろより物忘れが進み、意欲の低下を見られます。
現在、週1回の訪問介護と週2回のデイサービスを利用しています。
なお、夕食は宅配弁当を頼んでいます。
自宅では宅配弁当等の活用で、調理する機会が減少しています。
利用者様と職員が一緒に調理を行い、職員見守りのもと安全に調理を行なうことで
料理をしていた当時のことを思い出していただきたいと考えました。
自宅で作ったことのある料理を共同で作ること(料理教室の開催)で
自宅での調理をしようとする意欲の向上を図り、
認知症進行の緩和を目指すことを目的とします。
⑦
対象者① K様 要介護2
(情報)アルツハイマー型認知症
糖尿病
膝関節に痛みあり
日中からの帰宅願望あり
<事例検討開始前の状況>
おかずをご飯の上に乗せ勢いよくかきこまれたり、肘をついた姿勢で召し上がられる
→その都度、姿勢の声掛けを行いおかずは一口サイズにして提供し口に運ぶ回数を増やしました。
糖尿病のため急激な血糖値の上昇に注意が必要
→毎食前に糖尿の食前薬を服用しました。また、急激な血糖値の
上昇を避けるためおかずは先に提供、その後ご飯を提供しました。
噛む回数が少ないための消化不良、水分不足による便秘(お茶があまり好きな方ではないため)
→便が四日間でなかったときは酸化マグネシウムを服用しました。
対象者② N様 要介護3
(情報)アルツハイマー型認知症
歌うことが好き
過去に誤嚥性肺炎あり
<事例検討開始前の状況>
水分やおかずを勢いよく口に入れ流し込むことがありムセが起きる
→ゆっくりと食べて頂くように声掛けを行いおかずは一口サイズにして提供。
水分にはトロミをつけて提供しました。
→ご飯はおかゆで提供しました(粒が義歯の間に残りムセが起こるため)
背をそらしたように座られたり円背なこともあり食事中の姿勢がムセの原因になっている
→食事前には一度、姿勢を正して頂き姿勢よく食べて頂くように常に声掛けを行っています。
”現在グループホームが抱えている問題症状”
・年齢に伴う咀嚼力の低下、嚥下能力の低下によるムセ、姿勢の変化
・おかずをうまく口に運ぶことができずこぼれたり、スプーンで一定量をすくえない。
・飲み込む前に口に次々と食物を詰め込む行為
・便秘
・体重の増加
このような意見がでた中で
「安全にかつ、楽しんで食事をして頂く」
ということを私たちは目標に掲げました
⑧ 『2014年度最優秀賞』
対象者 S様 日常生活自立度 認知症 Ⅳ 身体機能 C1
利用者の食について、自宅での課題とデイサービスでの課題を把握し、それらを改善、またより良いケアとして支援を行うことで、
食の質の向上を図り、その事で利用者・家族の生活が豊かなものになる事を目指します。
S様の健康状態
・平成25年自宅で転倒骨折し動けなくなる。
・長男が介護していたが褥瘡が悪化し平成25年12月に入院。
・褥瘡部位の治療と、骨折後の血流悪化により右膝壊死にて切断。
・状態安定した為退院、褥瘡は完治しておらずバルーンカテーテル留置。
・退院後平成26年9月よりデイサービス週3回利用となる。
・家族からは、入浴による清潔保持希望。
・自宅ではプリン、ヨーグルトしか食べない。→褥瘡を治す為に必要な栄養素が足りない。
⑨
対象者 T様
•平成25年10月末よりご利用
•事故による頸椎圧迫骨折
•胃ろう造設
(看護師による管理)
①昼食時、エンシュア1缶(250ml)を2時間かけて注入
②白湯200mlを15分注入
③薬注射(整腸剤)
④たんの吸引
•両足踵の褥瘡
事故により在宅復帰が困難な状況から、ほおずきと出会い
奇跡的な回復を見せ始める。
•年明けごろより座位を保てる時間が 長くなる
•かかとの褥瘡状態の回復
•首の固定具を外せるようになる
•体操やレクリエーションに興味を持たれ、 調子の良いときには参加される
•Tさん 「また、白いご飯が食べたい!」
•ご家族様 「回復に驚いている。食事させてあげたい」
•平成26年3月より嚥下トレーニングの開始
⑩
対象者 S様 要介護1
食事形態 副食 一口大
・食事量 5~7割
・大人しい性格で口数も少なく感情を表に出さない
・目線がまっすぐで食べこぼしが多い
・あまり噛まずにお茶や汁で流し込んでいた(食べ終わるのが早い)
・食事になかなか手を付けない
・途中で箸が止まり嫌々食べている様子
食事を楽しんでいなかった
7月下旬
朝 発熱
昼 病院受診
原因不明のため様子観察
7月下旬
熱が下がらず入院
発熱が続く
・寝たきり
・浮腫が出ていた
↓
バルーンを入れ浮腫が取れる
・お茶ゼリー、全粥、ペースト食
・食事が摂れず点滴
10月初旬に退院
以前から食事に問題のあるS様
⇓
グループホームの環境に戻られ、入院前よりも食事を楽しめるように!
外部審査員の声をご紹介します。
「外部審査員より」
石川 立美子氏 いしかわ たみこ介護共育研究会代表
「おとな(介護職)の研修」について研究。デンマーク、カナダ、アメリカなどを訪問し、福祉先進国の現場を体験。現在は、豊富な経験と知識をもとに、コンサルタント業務・研修講師・地域づくりアドバイザー・雑誌連載など多分野で活動。
本人の目線(アイ)・思いやり(愛)・主体的な私(I)を大切にした、石川立美子の目のつけどころ(アセスメント)から、暮らしを豊かにし、互いに尊重し合う行動、モノ、考え方”たみ~ずあい”を展開中。
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