CHIAKIほおずき
2013年度テーマ「体調管理をケアに活かした取り組み」

発表テーマ

「その方らしい生き方への支援」

発表者:A・T
CHIAKIほおずき姫路辻井
生活介護

目的

対象者 J様 身体障害者手帳1種1級 障害者程度区分4
(情報)
・独居
“既往歴”
糖尿病
糖尿病性腎症によるじん臓機能障害(週3回人工透析)
糖尿病網膜症(左目失明、右目光程度)
拡張型心筋症による心臓機能障害
糖尿病による認知症
右足指壊疽により切断

(日常生活における問題点)
・下肢筋力低下による足元の不安定
・食事制限(透析食)
・水分量制限:1日500CC(通所中は計150CC)
・体重増加による肥満傾向

(過去の経緯)
H19年
利用開始(9月)
開始直後に入院
H20年
利用再開(1年後の9月)
糖尿病悪化により様々な制限がきつくなる
H21年
再び入院(5月)
利用再開(1ヶ月後)→利用中気分不良等多数訴えあり
H22年
再々入院(4月)
利用再開(6月)→体調不良等の訴えが多くなる
自宅前の路上で寝ておられる姿を発見(10月)
→本人明確な記憶無し
H23年
自宅にて今までできていた行為が困難な事が増える
(転倒や失禁、服薬ミス等)
H24年
普段より嘔吐を繰り返す事が多くなる(服薬ミス)
迎え時、家の外庭で仰向けで寝ておられる(転倒、見当職障害)
H25年
自宅トイレに行けず紙パンツ内に排便されることが増える
体重の増加、中性脂肪などの数値が悪化

J様を取り巻く状況
・本人を取り巻く関係機関が、それぞれがすべき事だけを行っていた…
・ヘルパー:在宅での食事・洗濯・排泄介助・ほおずき利用の準備
・病院:透析、薬処方
・家族:時々様子だけ見に来る。排泄介助などは行おうとされない。
・ほおずき:入浴介助、昼食の提供など日中過ごしていただく場

このままでは望む生活が送れないのでは!?
目標『その人らしく生きてもらう』

方法

現状を把握するため「現状確認シート」、
課題を抽出するため「センター方式」の活用
さらに課題設定、自己目標設定を行う

現在の状況
・一人暮らしに対する不安が大きい(体調面含む)
・お金の管理ができない
・水分制限が辛い
・服薬の管理ができない
・安心してトイレに行きたい
・目が見えない中では家の段差が多すぎる

J様の望み
・不安のない生活を送りたい(入所も含む)
・もう少し自由にお金が使えれば…
・外出してお寿司を食べたい
・制限関係なく好きなものを食べたい
・運動する時間を増やす
※持病がある為、自分の思うようにはいかない…
このギャップを埋めるために必要な目標を立て、個別計画にも反映

取り巻く関係機関との連携
・ヘルパー:体調等含む情報交換、服薬管理
・病院:透析前、透析後の状態記録、糖尿病管理
・地域連携室:家族、関係機関との中継点としての役割
・市役所:在宅生活状況や受給者証内容の確認と変更
・近隣住民:見守りと情報提供
・地域包括:障害サービスとの連携と共に、不足分のサービス調整
・家族:朝の送り出し、在宅支援

職員がすべきこと
★利用者の必要な情報を把握
★それぞれの疾病への理解を深める
★取巻く関係、他職種の役割を理解
★個別支援計画を理解
★報告・連絡・相談による必要な情報伝達・発信
★きっちりとした記録を残す

J様の希望に添える様に
頑張る時間
(運動する時間の増加)
楽しみの時間
(体操、フットマッサージ、オイルマッサージ)
を設ける

結果

現在では…
(プラス面)
・様々な関係機関との連携を強化し、その人を取り巻く環境整備にも努めている。
・利用者様のその都度の状態によって、その方にとってより良い支援に
繋がるような方法を検討し、ケアに連動させていく。
・状態把握を看護師のみに任せるのではなく、職員が利用者様一人ひとりの状態を
どの程度理解できているかで、体調変化等の気付きが変わってくる。
・バイタル表等を元に、連絡帳等により家族との情報共有、交換、
ヘルパーや病院等の他職種との情報交換が円滑に行っていける。
(マイナス面)
・職員個々のスキルの差により、対応にも不安等がまだまだ生じている。
・個々の意識の差により、気づきレベルにも差が生じている。
・協力的な家族ばかりではないので、情報提供等が一方通行で終わってしまう事も…
・他職種連携の窓口が特定の人物になってしまっている。
・特に医療面に関しては看護師を頼ってしまいがちになり、任せきりになる傾向がある。

まとめ

・その方らしい生活を支援していく上で、どれだけその方の事を理解しているか、
知ろうとしているのかという事がいかに重要であるかを改めて認識できた。
・その方の気持ちを高めるきっかけ作りのお手伝いをし、意欲の向上を図る事が出来た。
・その方に合った支援方法を検討し、工夫していく事で、しっかりと根拠のある支援に
繋げていく事が出来るようになった。
・望む事すべてを叶える事は困難であるが、ほおずきでできる限りの体調管理に努め、
その方がその方らしく生活できる環境を継続して提供していけるように関係機関と
協力しながら施設全体で支援していく。