CHIAKIほおずき
2016年度テーマ「入浴・身体の清潔保持」

発表テーマ

「「入る入浴」から「入りたい入浴」」

発表者:足立 篤史
CHIAKIほおずき福崎
デイサービス

目的

対象者 O・T様 要介護2 86歳 男性

◇ 障害老人日常生活自立度J2
◇ 認知症高齢者自立度Ⅳ
◇ 既往歴 : 前立腺癌アルツハイマー型認知症
◇ 家族構成: 奥様と二人暮らし
◇ 平成28年9月よりデイサービス利用開始

平成28年6月頃までご自身で入浴されていたが、7月頃より「椅子に座るのが怖い」と自宅で入浴する事が難しくなる。以前は、お風呂が好きだったとお聞きする。
希望としては、デイサービスに慣れ入浴ができるようになり、清潔保持を行いたい想いがある。本人様から「不安やなぁ」と聞く。
入浴に対しての恐怖心もあり、洗顔も難しい状況(以前は、出来ていた水で顔を洗う)でタオルで拭いて清潔保持に努めている。
デイサービスに慣れて、身体の清潔保持から他者との交流も活発になり心と体も気持ち良く生活を送って欲しいとお聞きする。

<課題分析>

・ 自宅でも入浴が出来ていない状況が続いている。
・ 入浴椅子に座るのが怖い。
・ 水が怖く、洗顔もできにくい。
・ 身体面で移動に不安があり、入浴動作で背中等が洗うことが難しい。
・ 身体状況が把握できない。
・ 表情が乏しい事が多く、活気がなく他者との交流が少ない。(距離を置かれる)家族以外が居ないと不安な様子。

<目標設定>

・ 以前のように活き活きとした生活を取り戻したい。
・ 入浴動作において、不安、恐怖心を解消したい。
・ 入浴に楽しみが持て身体の清潔を保持したい。
・ 運動を行い以前と同じように動きたい。

方法

<実施内容>

①生活に楽しみが持てる
②入浴に対して不安解消
③身体状況、内面の確認

①~③の順で取り組み開始

※本来の笑顔を取り戻す事から取り組み、入浴に対する不安を解消に向け実施して行きます。

職員間で話し合い対応を統一
リラックスできる状態が保てる環境作り。
気の合う方と座席配置を配慮。入浴前に音楽(星影のワルツ)を流し一緒に歌う。
安心してもらえる人間関係を作る。
ゆっくりと笑顔でコミュニケーションを図る。

※入浴時声掛けの対応

時間を決めず本人様のペースで入浴の声掛けを行う。
入浴していただく事を説明し、本人様が混乱されないように対応する。
仲の良い方と一緒に入浴できるようにする。

※入浴時の対応

羞恥心に配慮する。
(同性介助・パーテーションを使用する)
入浴に対しての不安解消

1.浴室の環境確認、説明

・ 自宅訪問にて、自宅の入浴環境とデイサービスでの入浴環境を比較。椅子の高さ、座面の面積、手摺り位置など違いを把握。
・ 手すり付きの椅子に実際に座って頂き、手すり位置を説明。

2.ホットタオルでの洗顔、髭剃り

・ 習慣に繋がるように取り組み

3.機能訓練(入浴動作体操・ 歩行安定)

・ 入浴動作(タオル絞り)
・ 入浴動作(肩甲骨可動域広げる)
・ 入浴動作(背中洗い)
・ 歩行訓練
・ お風呂に入るための体操

4.足浴の実施

・ 気の合う方との座席配慮

5.リラックスできる環境作り

・ 身体状態、内面の確認

身体状態の変化

・ 両下肢の浮腫軽減が見られる。
・ 本人様より「前より立ち座りがしやすくなった」と聞く。
・ 背中、頭部、趾間は洗うことが難しい様子、本人様からも「手が届きにくい」と聞く。

気持ちの変化

・ 自分から他者との交流が見られるようになった。
・ 浴槽に入られると「気持ち良いわ」と職員に話されることがある。
・ ご自身から身体を洗う事が増えた。(特に両腕、大腿部、両脇)
・ デイサービスに行く事に対して、前向きな気持ちになり家族様に「楽しかった」と話しをされる事が出てきた。
・ 利用日が億劫ではなくなったと聞く。(本人様、家族様共に気持ちに変化が見られた)
・ 自宅で洗顔(ホットタオル)に対して不安がなくなった。家族様より「温水で洗う事ができています」と聞く。
・ 外出(デイサービス)する事に対し、家族様より「機嫌良く出掛け、戻って来て嬉しいです。本人の表情が変わった事が一番嬉しい」と聞く。本人様からも「よくしてもらって嬉しい」と言葉がある。デイサービスに行く事が本人様の中で楽しみに繋がった。
・ 入浴に対する不安、恐怖心解消に為、職員との信頼関係構築が第一と考え関わった。信頼関係が築けたことでホットタオルでの洗顔、入浴用チェアーの説明を受けいれ安心に繋がった。「顔を洗うの大丈夫」と聞く。
・ 会話の中で「昔は、風呂が好きやった」「昔、妻と旅行に行ったときの檜の風呂とか気持ち良かったわ」とお聞きする。入浴が好きだった頃の話しをご自身からされる様子が見られた。家族様より「旅行に行きお風呂が好きだった。」と聞く、入浴時の声掛けの中で「温泉」と言うワード、環境作りが必要と考える。ご自身から入浴したいという想いに繋げたい。
・ 入浴に入られない回数は減っているが、入浴に対する恐怖心、楽しみが完全に持てたとは言えない様子がある。寒い時期になると億劫になり、入浴できない日が増えた。体(一仕事)を動かしてから入浴に繋げる。

<再実施>

目的

①旅行気分が味わえる入浴環境
・ 楽しい入浴環境(みかん風呂檜風呂)を作り、入浴に対して楽しみが持てる。
・ デイサービスに行くことに目的、楽しみを持つ。
・ 生活に活気が持てる。

②体(一仕事)を動かしてから入浴
・ 入浴は仕事を終え一汗流すイメージがあるので、入浴したくなる条件を整え自然な形で入浴に気が向く機会を作る。
・ 入浴後の飲み物で「風呂の後は、美味しい」と話される。

結果

良かった点

①ご本人様の表情、行動、言葉に変化が見られた。ご自身から他者に寄り添ったり前向きな言動が見られた。
②家族様と情報交換が密に行えた。自宅で洗顔、髭剃りが出来るようになった。
③統一ケアの意識が強くなった。
④ケアプランによって共通認識として取り組めた。
⑤サービス終了しても繋がりが持てた。

悪かった点

①入浴に対して恐怖心は軽減できたが、寒くなると入浴に対しての意欲低下が見られた。(完全に不安解消には至らなかった。)
②本人様のペースに沿っていない事があった。
③訪問看護との連携を早い段階で図るべきだった。
④住み慣れた自宅での入浴に繋がらなかった。

<今後に向けて>

・アンケート結果を見ると、今後の在宅生活を送る上で入浴に対しての不安を感じている意見があった。デイサービスで入浴する事も重要だが、自宅の環境面にも目を向け利用者様が心から気持ちよく入浴する為に何が必要なのか考え、支援して行く必要がある。入浴する為に
は、機能、精神面と対にならないと結びつかない事を理解し、今後の生活支援に繋げて行きたい。
・ニーズ(課題)において何が原因なのか様々な角度から分析し共通認識の上、課題解決に取り組み本人様が望む生活に添える支援が必要と考える。その為には、アセスメント、日々の様子、想い等を把握し他事業所とも連携を図り、住み慣れた地域、自宅で生活が送れるよう取り組んで行く。

まとめ

日常生活の一つである、「入浴」を通して心と身体が合致しないと清潔保持に繋がらない事を再認識させて頂きました。

清潔保持は、目に見える部分、目に見えない部分があり、この2つが整う事で、人間の持つ基本的欲求を満たすことができ幸せに暮らして行けると感じました。

本人様の持っている力を活用すると共に、気持ちの面で引き出せていない力があり、両方に着手することで、以前の姿(本人様、家族様が望む姿)に近づけて共に共感、喜び合えることを教えて頂けました。