CHIAKIほおずき
2016年度テーマ「入浴・身体の清潔保持」

発表テーマ

「入浴が苦手な方へ」

発表者:村角 奈美
CHIAKIほおずき姫路宮西
デイサービス

目的

対象者 K様 女性 74歳 要介護2
<<状態>>
レビー小体型認知症(約2年半ほど前)
日常生活自立度 Ⅱb
入浴・着脱については一部介助が必要。
食事・排泄等他については、ほぼ自立。
<<状況>>
自宅で入浴を勧めても、「入った」との返事はあるが実際は入っていないことがある。
家族が手伝うことにも拒否がある。

◎ご本人様との会話や関わりから得られる情報として
「お風呂は毎日、夜に自分で入っている」
「髪の毛も、ちゃんと洗ってます」
「お家でやってるから、ここではいいよ」
「ほかの人にしてあげて」
「着替えの服は自分でする」

◎ご家族様から得られる情報(家族様の関わりの中)
「最近、お風呂入ってるのは見てない」
「(認知症の初期に)孫が一緒に入っていたこともあった」
「(自営業の為)仕事が終わるのが遅いから手伝えない」
「嫁や孫の言うことも聞かなくなってきた」
「あんまり言うと、怒って反論してくる」

◎ケアマネージャーから得られる情報
・買い物が好きで、よく百貨店に行っていた。
・真面目な性格で、書道教室やピアノ教室にも通われていた
・2年半程前から認知症状が出始める。短期記憶の記憶力低下が顕著になり、
その場の会話は出来るが、一つ前の会話は忘れてしまう。
・夜間帯に出かけた時に帰宅出来なくなり、警察に保護されることもあった。

方法

「お風呂に入ってみませんか?」(計画の立案)
①ご本人様の認識では自宅での入浴が出来ている。(実際は入られていないことがある)
②ご家族様の介護力と量では入浴介助が困難になってきた。
③介護に対する抵抗感が強い。
④下着の交換が出来なかったり、髪が乱れるなど、身体の保清に関して
保てていない状況が発生している。
⑤ご本人様の心身の健康を考えるうえで、入浴の必要性がある。
⑥ご家族様からの入浴に関する要望が強くある。

・拒否される可能性が高い為、入浴に対する本人の考え方や生活背景に関する
情報を職員全員で常時傾聴する。
また、情報と進捗状況を家族様やケアマネージャーと共有する。
・入浴実施に至るまでに段階的な巡行と逆行があることを想定し、職員間で役割を
補完し合う事を約束する。

(入浴の実施)
・個別的配慮
「個浴」「女性対応」を基本に行いました。しかしながら、想定していた通りに拒否が
見られました。
職員の説得に応じる気配もなく語気を強めて、
「私は家で入ってます。どうして入りたくないのに入らないといけないの」の
一点張りでした。
・関係性の向上
通所の利用継続を維持することへの影響を防ぐために、フロアでの関わりを重視しました。
各職員が役割を決めて、全員が信頼関係を築くことを優先しました。フロアで様々な事を
通じて職員と行動することにより、徐々に関係性が出来ました。
・細かい状況の報告
利用日ごとに入浴の声掛けの状況やフロアでの様子を電話や連絡帳にて報告。
家族様やケアマネージャーの見解と意見を聞かせていただきました。
・協力体制の構築
入浴が実施出来ていない間の入浴に関しては、家族様の協力を得て自宅での実施を
行っていただきました。
ただし、家族様の負担状況を考えると、期間が限られていました。
ケアマネージャーとも相談して、対応について協議を重ねました。

「やっぱり、お風呂に入りたい」(モニタリング)
・今までの状況を振り返り、評価と再アセスメントと方法を見直す
(評価)
入浴が未実施。
拒否感の強い日も見られるが、それ以外の場面での信頼関係は築けてきた。
(再アセスメント)
家族様の声掛けにて入られる日もあるが、洗身や洗髪が不十分。
家族に対する抵抗も増してきた。
通所にも慣れてきたが、入浴の声掛けには応じていない。
(具体的方法の見直し)
足浴やドライシャンプーの使用から始める。

(足浴やドライシャンプーの導入)
足浴から始めてゆくことにして、本人様の拒否感や不安感を
取り除きながら入浴実施へのきっかけ作りにしました。
また、良い香り(ローズ)がするものを好まれることが分かり、
トリートメント剤や入浴剤も用いるようにしました。
(家族との連携)
入浴時間を調整(個別の午後)して、家族様にも来所していただき
入浴の声掛けを手伝っていただきました。

★入浴の実施
・試行錯誤の信頼づくりと家族様の協力の結果、入浴が可能な日が出てきました。
しかし、脱衣の途中で怒り始めたり、入浴中のシャワーを振りまわしたり、
急に叩かれたり、職員も挫けそうになる日もあります。
職員間のメンタルフォローを続けることで全員で乗り切ろうという思いになりました。
・家族様との連携についても、来所では負担が大きい為、電話口での声掛けに切り替えました。

結果

現在では…
・何度も失敗と成功を繰り返す中でご本人様の様子も変化してきました。
今までは、一方的に怒る事ばかりでしたが、徐々に、
「ごめんね」と、怒ってしまったことへの謝罪があったり、
「ありがとう」と感謝の言葉を頂く様になりました。
・以前に比べて、自主的に生活リハビリやレクリエーションに参加し
笑顔が見られる様になりました。

「これからも一緒に…」(考察と今後の課題)
・入浴実施日が確実に増えた事で、家族様の介護負担軽減につながった。
・身体の清潔が保たれるようになり、笑顔が増えた。
・他者との交流が増えた。
・職員間の連携が深まった。
・家族様やケアマネージャーとの連携が深まった。
・再び以前の状況に戻る可能性が残っている。

まとめ

今回のケースを通じて認知症ケアとは…。という事を学ぶだけではなく、
人としての関わり方や家族の思いを学ぶことが出来ました。
また、会話や声掛けの技術の向上などが感じられました。

しかし、関わり続ける事と自分自身に向き合うことが難しいと
痛感させられました。今後も諦めない気持ちで一歩踏み込んだ
寄り添うケアを実施できる様に職員で取り組んでいきます。